マザーズ・ロザリオ編
転章・約束
剣士の選択
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
24層パナレーゼ
「……………」
巨大な湖の中心にある主住区の外れでレイは大太刀を抜き放って右手で持ち、眺めていた。左手でサブアームの小太刀《蜻蛉》を持ち上げ、その上に大太刀《蓮華刀・紅桜》を重ねる。
深紅の峰に白い刃、炎を表すかのような紅の唐紋様。
芸術品を思わせるその姿に隠された3つ力。
堅牢なる盾。 焼尽の衣。 そして―――、
「『焔鎧・参式、《紅…「あ、いた!」…うおぁ!?」
背後からいきなり声を掛けられ、驚きのあまり両手の刀を取り落とす。2振りの刀が纏っていた赤いライトエフェクトはガラスが割れるような音と共に雲散霧消し、刀は元の輝きに戻った。
「……ったく、何だよ?」
「何だよってあんた。もう時間よ」
「……おっと」
思いの外長く夢想の状態にあったようだ。迎えに来たリズ達に謝ると、拾った大太刀を背に背負い、小太刀を羽織の中にしまった。
「ん………待たせたな。行こうか」
途中でイチャラブしていたキリトとアスナを拾い、《絶剣》が決闘場にしているという小島にやって来る。
小島の丘にそこそこ大きな樹が根を下ろし、その根の一角に多くのプレイヤーが集まって歓声を上げている。
「もう始まってるみたいね」
「まさか倒されたりしてないだろうな……」
輪を作っている集団の空きスペースに全員が着陸した時、丁度1人のプレイヤーが落下してきた。
墜落のショックから暫く大の字に伸びていたサラマンダーの男はフラフラしながら立ち上がると両手を大きく振りかぶって降参した。デュエル終了のファンファーレと大きな歓声、拍手。
すげえ、これで67人抜きだぜ、誰か止めるやついないのかよ、と誰かが言うのを聞きレイはひゅう、と口笛を鳴らした。
確かセラに絡んできた人数は50人を越えたところで止んだらしい。単純に考えれば絶剣は彼女以上に話題を呼んでいるという事だ。
さてさて、どんなヤツかとレイは無造作に視線を上空の勝者に向けた。
勝者が螺旋軌道を作りながら下降するにつれ、そのシルエットの細部が明らかになる。インプ特有の紫がかった乳白色の肌。長く伸びたストレートの髪は濡れ羽色の艶やかなパープルブラック。胸部分を覆う黒曜石の軽量戦士用のアーマーは柔らかな丸みを帯び、その下のチュニックと、ロングスカートは青紫色、腰には黒く細い鞘。
「…………っ!?」
脳がその姿を認識した瞬間彼の思考が勝手にある名前、姿を浮かび上がらせる。
「……そんな、筈は」
何故《彼女》がここに?いや、アバターの姿はランダムだ。天文学的数字にはなるが《彼女》と同じ顔が出来る事もあるかもしれない。
しかし、その思考は別の記憶によって即座に打ち消された。
(……可能では、ある
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ