アモールの水
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外はもう夜だ。
闇が世界を支配する時間。
とはいえ、真っ暗闇ではない。
月と星々の明かりが、大地を照らしていた。
「キュー。」
宝箱から顔を出すスラ子。
キョロキョロと辺りを見回すが、ガルドとシェリーの姿はない。
また、作られた茂みに、全然気がついてなかった。
何故なら・・・。
「キュ、キュー。」
予想通り、猛省中だからだ!
毒消し草のせいとはいえ、頭の上に登ったり、鳥みたいに飛ぼうとするなんて。
失態である。
「キュー!」
スラ子は決意した。
もう2度と毒消し草は食べないと!
うんうん、偉いぞ。
「・・・・・・。」
どうした?
難しい顔なんかして?
「キュー。」
何だと?
一口なら大丈夫かもだって?
いやいや、ちょっと待て。
まだ数秒しか経ってないぞ。
猛省と決意は、どこにいった!?
「キュー!」
だ、駄目だこりゃ。
スラ子は食い意地の塊だ。
もはや言うだけ無駄か。
「キュ?」
宝箱の傍にあるガラス瓶に、スラ子は気がついた。
ガルドの置き土産だ。
ガラス瓶に入っているのは、透明な液体。
スラ子は知らないが、これはアモールの水。
不思議な水で、怪我を治す効果がある。
その効果は薬草より高い。
ちなみに蓋は、コルク栓だ。
「キュー♪」
早速飲もうとするスラ子。
ところが・・・。
「キュ?キュー!」
コルク栓が取れない。
必死に引っ張るが取れない。
「キュー!」
スラ子の闘志に火がついた。
美味しそうな水を前にして、諦めるという言葉はないのだ!
ガラス瓶を両足で挟み固定。
コルク栓を両手で引っ張る。
「キュ、キューーーー!」
スポーン!
抜けた。
手が、すっぽ抜けた。
バンザーイのポーズのような状態で、スラ子は後ろ向きに倒れる。
そして・・・。
ガスッ!
頭を宝箱にぶつけた。
うわぁー。
痛いな、あれは。
「キュウウウウウ!?」
静かな夜に、スラ子の悲鳴が響く・・・南無。
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