第10話 ダレダン星域会戦
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ア軍に軍配が上がっているようであった。
「敵中央、突っ込んできます!」
「何だと!」
突如、ティオジア軍中央にあったバドエルの直属部隊が高速で帝国軍中央へと突撃を仕掛けてくる。
不意を突かれたことも影響して帝国軍中央は混乱に陥った。
「なんというスピードだ……だが、数ではこちらが上。敵の先頭へ砲火を集中して勢いを削いた後、押し返せ」
「閣下、右翼部隊が……」
帝国軍中央がバドエル隊への対処で両翼との連携が崩れた隙を突いて、ユリアヌス中将の部隊が帝国軍右翼へと攻勢を掛けている。
「く、敵の狙いは始めからこれだったか!」
ようやくバドエルの狙いに気づいたグリルパルツァーであったが、時既に遅し。
戦況はティオジア軍に傾いていた。
「このままでは分が悪い、全軍を後退させて陣形を立て直せ」
グリルパルツァーも無能ではない。
このままでは遠からず右翼部隊が壊滅するであろうことは容易に予測できた。
そして、それを回避するにはある程度の損害を覚悟でいったん後退し、崩れた陣形を再編するしかないことも。
だが、今回は相手が悪過ぎた。
「おっと、逃がしはしねーよ」
バドエルは突型陣をとって帝国軍中央部へと突撃する。
「このままでは食い破られます!」
「(く、このままでは……)」
「直撃、来ます!」
一発のビームがグリルパルツァーの旗艦エイストラに直撃し、エイストラの推進力を大幅に奪い去った。
「こんなことが……」
直後、新たなビームの直撃を受けたエイストラは爆沈。
グリルパルツァーも戦死した。
エイストラの撃沈はバドエル艦隊旗艦ザッフィーロの艦橋からも確認できた。
「敵旗艦、撃沈」
オペレーターの報告に周囲から歓声が上がる。
「やりましたな」
「ああ。だが、まだ戦いは終わっちゃいねぇ。ここで叩けるだけ叩いておくんだ!」
旗艦を失って壊乱状態にあるグリルパルツァー艦隊に対し、バドエルは容赦なくたたみ掛ける。
このまま行けばグリルパルツァー艦隊の全滅も時間の問題であったが……
「後方より敵艦隊。数8000」
「何だと!」
「推定接触時間は?」
「およそ、3時間です」
「まだ多少時間はあるようですが……」
「いや、これだけやれば十分だ。直ちに撤収に入れ」
かつて、ヤン・ウェンリーは名将の戦いぶりについてこう述べていた。
『明確に目的を持ち、それを達成したら執着せずに離脱する』
今まで積み上げて来た戦果だけではなく、そういった意味でもバドエルは名将と言えた。
6月24日23時10分。
クナップシュタイン艦隊が救援に駆け付けたことでバドエル艦隊は撤退。
グリルパルツァ
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