第10話 ダレダン星域会戦
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
揮官であったが、分艦隊司令の力量にはバドエル艦隊に分があった。
守勢に関しては鉄壁ミュラーに匹敵する実力を持つユリアヌス・ドルキヌス中将。
機動性に富んだ艦隊運用を得意とするダーフィット・ロン・カルデン中将。
攻守のバランスが良く、用兵の妙に長けるネルジュワール・ラミン中将。
銀河帝国であれば1個艦隊を任されても不思議ではない面子である。
開戦後2時間が経過したところで、最初に仕掛けたのは帝国軍であった。
「右翼を伸ばして敵を半包囲せよ」
グリルパルツァーの構想としては、右翼を伸ばして敵を半包囲下におき、その後左翼を前進させて敵右翼を拘束することで徐々に戦力を削り取って行くものであった。
だが、その構想は未完に終わる。
「頼むぜ、おっさん」
『まかせておけ』
そう答えたのはティオジア軍左翼を任されているカルデン中将である。
彼の指揮下にある2000隻の艦艇は元々アルノーラ軍に所属していた艦艇であり、アルノーラ軍は高機動戦術に定評がある国であった。
そして、元アルノーラ王室近衛艦隊副長という肩書を持つカルデンは当然ながら機動戦を得意としていた。
「全艦全速、敵に我々の速攻を見せつけてやれ!」
オレンジ色に染め上げられた戦艦ドライベルクの艦橋で叫ぶカルデンは、その能力を遺憾なく発揮し、見事帝国軍右翼の頭を押さえることに成功した。
「く、早いな。艦隊運動では敵に分があるか」
そう言って、グリルパルツァーは作戦の失敗に落胆した。
彼自身、『敵が自分たちより優れているわけが無い』と心に驕りがあったのは否めない。
「(このまま中央を突くか……いや、ここで攻勢に出るのは危険すぎる。右翼の頭を押さえられている現状、失敗すれば敵の包囲に曝されてしまう)」
そうグリルパルツァーは考えたが、実はこれによって勝機を逃していた。
このとき、カルデン分艦隊は帝国軍右翼の頭を押さえるため突出しており、バドエルの本隊との繋ぎをユリアヌス中将の分艦隊が担っていた。
つまり、一時的にバドエルの本隊が手薄になっていたのである。
グリルパルツァーがここで中央を突いていれば、数の差は3000対2000。
バドエルの首を取れなくても、後退を強いることは出来たハズである。
「左翼はどうなっている?」
「敵右翼の強かな反撃にあい膠着状態です」
帝国軍左翼は2500隻。
ティオジア軍右翼の2000隻に対して数で有利なはずであった。
「敵の方が一枚上手ということか……左翼のあの機動性といい、敵は優秀な中級指揮官を揃えているようだな」
数において互角である以上、それを指揮する司令官や分艦隊司令の力量によって優越が左右される。
現状、分艦隊司令の力量ではティオジ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ