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SAO─戦士達の物語
キャリバー編
百二十三話 年末の大イベント
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「う……」
ニヤリと笑った涼人に図星を突かれ、直葉は言葉に詰まる。相変わらず瞳から感情を読み取る特技は健在である。直葉の期待を察しつつ、そのまま涼人は続けた。

「ってわけで、やろうや、聖剣入手。最高難易度ダンジョンの攻略。報酬は最強の剣。アガるシチュエーションじゃねぇの!」
「まぁ、そうだけど、なんだかなぁ……」
目を輝かせながら盛り上がる涼人に、直葉は苦笑し、しかしその声を和人が遮った。

「この際細かい所は気にすんなって!そうとなりゃメンバー決めないとな!トンキーの上限は七人だから……」
「あぁ、カズ」
「えっと、ん?え?」
「お前はお前で六、七人集めとけ、俺は俺でメンバー集めるからよ。頭数は多い方が良いだろ?」
涼人の発言に、直葉が首を傾げる。

「え?トンキーの上限は?」
「其処はちゃーんと考えがあっからよ。ま、任せとけ、あ、とりあえずカズ、美幸と、詩乃と……あと、レコンも俺が誘っとくから」
「あ、あぁ。おっけ。んじゃこっちも色々と考慮して……」
「……りょう兄ちゃん」
「ん?」
考え込みながら紅茶を飲み終え、立ち上がった涼人を、直葉が呼び止めた、どうでも良いが、やたらと声が低い。

「レコン……長田君、まだALOやってるの?」
「あ?やってるのもなにも……バリバリだぞ?彼奴今、なぁ?」
涼人が和人に言うと、和人もコクリと頷いた。

「あぁ。こないだも男ばっかりでアインクラッドの方のダンジョン攻略……あの、直葉さん?」
「……はぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
何やらひきつった顔で聞いた和人を無視して、直葉は大きく息を吐くと……ゆらりとその紙を揺らして、涼人を見る。

「……りょう兄ちゃん」
「……お、おう……」
珍しく緊張した面持ちで返した涼人に、直葉は今日一番の最高の笑顔で言った。

「レコンに、絶対来るように言っておいて?お願いね?」
「……あ、あぁ……」
そう言うと、直葉は無言で食器を片づけ、リビングを出て行った。

「……なんだ?あれ」
「いや、まったくわかりません。はい」
涼人が聞いても、和人は首を傾げるだけだった。


まぁ、兎にも角にも、こうして、キリト、リョウ率いるALOでも屈指の実力を持つと思われるPTが起動し、妖精世界でも指折りの能力を持つ剣を得るため、大攻略作戦が行われる事となった訳である。

年末の大イベント、涼人も和人も、メンバーを集めるメールを打ちながらほんの少し、口の端がつり上がってしまうのだった。

2025年 12月28日 日曜日
VRMMORPG ALO《アルヴヘイム・オンライン》


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