二十話・後編
[後書き]
[8]前話 [9]本文 [2]次話
目を覚ますと少年は穴から抜けていました。
ここがどこだかわかりません。最初にいた場所のようにも見えます。
全身が痛みます。きっと傷だらけなのでしょう。血も流しているでしょう。
どうしようもなく汚れているのでしょう。
ふと少年は気づき、大急ぎで探し回ります。
人形です。ずっと話してきた、人形たちです。
その人形を取り出し少年は絶望します。
汚れていました。腕が取れていました。お腹が裂けていました。
今にも千切そうな人形が叫びます。
嘘つき。嘘つき。裏切り者……
何故騙した。何故約束を破った。何故かってに歩いた。ずっと嘘をついていたのか。
口々に叫び少年を糾弾します。
今にも千切そうな人形から悲痛な叫びが少年を貫きます。
どれだけ時間が経ったでしょう。少年は項垂れています。
心がすり減り、自力で立つ気力もありません。
誰かの為に、皆の為に、としてきた全てが少年に牙を向きました。
守ろうとした全てが少年を否定しました。
もう人形から声は聞こえません。いや、聞こえないと思い込んでいるだけかもしれません。
動かず、声を出さず、心が磨り減った少年の様なもの。
そこには一つの糸繰り人形がありました。
カラ、カラ、カラ……
……
…
.
[8]前話 [9]本文 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ