波乱
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葉とは違い千李は語気を荒げ始めた。
「今回の一件はクリスだけが悪いわけじゃない。自分達の説明不足もあったということを忘れないように。……悪かったわねクリス。こんなことになっちゃって」
千李は立ち上がるとクリスに頭を下げる。だがクリスも立ち上がり千李を含めそこにいた全員に頭を下げると謝罪の言葉を述べた。
「自分こそすまなかった。ここをみなの大切な場所だということを理解もせずに取り壊すべきなどといってしまって……本当に申し訳ない」
「ほらクリスもこうやって謝ってんだから許してあげたら?」
皆を見ながら千李が言うと大和たちもそれぞれ顔を見合わせながら頷くとクリスに謝罪の言葉を述べた。
「さて後一つね……私は何でまゆっちが怒られなければいけないのかまったくその理由がわからないんだけど?そこんとこ説明してもらえるガクトに百代?」
千李はにっこりと笑いながら二人に目を向ける。すると二人は蛇に睨まれた蛙のように竦み上がった。だが百代がおずおずと答え始めた。
「いや、それはその……あまりに他人行儀過ぎてって言うかその自分を下に見すぎてるというか……」
「ほー。じゃあお前は今まで友達ができなくてずっと1人だったまゆっちに、いきなりこんな風に友達がしかも全員が先輩のなかで腰を低くするなとそういいたいわけ?」
千李の言葉に百代と岳人がこくんと頷く。その様子に千李は大きくため息をつく。
「ごめんどう考えても私は理解できないわ。仲間になったからっていきなり性格を変えられるわけないじゃない。しかもまゆっちはただでさえ礼儀正しい。そんな子が普通……さっきも言ったと思うけど……先輩の中で腰を低くせずに接しろって言う方が無理だと私は思うんだけど?それに例えそう思ったとしても言ってやらずに見守ってやるのも仲間としてのあり方じゃないかと思うけどね」
言い終えると千李は一息つくように腰を下ろす。しかし「でもまぁ」と言葉をつなげる。
「さっきのクリスのこともそうだけど、これは全部私の考えだから一概に私の言っていることが正論とは言えないわ」
ケラケラと笑いながら言う千李を見てその場にいた全員が力が抜けたようにげんなりとなってしまった。そこに前と同じであまりの寿司をもらってきた翔一が飛び込んできた。
「あり?なんでみんなそんなにげんなりしてんだ?」
不思議そうにきく翔一に千李が事の顛末を話すと翔一も納得したように頷いた。
「じゃあもう千李先輩の言ったことで完結してんだろ?だったらいいじゃねぇか!寿司くってみんなで仲直りしようぜ?」
「あ、そうだ私もケーキ買ってきたんだった。瑠奈持ってきて」
「はーい」
瑠奈がもて来た箱を開けると中には結構な大きさのケーキが入っていた。
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