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ソードアート・オンライン ―亜流の剣士―
Episode2 黒衣の剣士
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PoHの短剣にただ打たれるのみである。

せめて、一撃全損だけはやめてくれよ。と自分の紙装備は棚に上げていかにも薄いキリトの装備を心配した。
今にも心臓に突き刺さりそうな程短剣が肉薄したとき、辛うじて俺が気付ける動作でキリトが動いた。

キンッ!

と小さな金属音が一つしたかと思うと、宙を舞った短剣が根元までジョニーの足元の地面に突き刺さった。

納剣していたはずのキリトがPoHに剣を向けていた。


「いい動きだな」

さっきまで饒舌だったPoHが何も言い返さない。剣を跳ね上げられた状態のまま固まっている。こちらから表情は見えないが、俺と同じくキリトのとてつもなく《自然》な動きに驚いているのだろう。

しかし硬直していたのもほんの一瞬。すぐにバックステップで距離を取りジョニーの横に立つ。
ギラギラ光る自身の得物を地面から引っこ抜くとあからさまに怪訝な雰囲気でキリトを見つめる。その横でジョニーが喚く。

「おかしいだろ!俺が投げた麻痺毒のナイフはちゃんと刺さってるのに、なんで動けるんだよ!」
「…さっきまでそこの草むらの奥で麻痺毒の特殊攻撃を持ったMobを狩ってたんだ。だから耐毒ポーション飲んでたんだけど、その効果がまだ残ってたみたいだな」
「誰かと違ってひどくLuckyみたいだな」

誰か、とは間違いなく俺のことなんだろうがそんなことどうだっていい。希望が見え出した。…ただ、それでもなお2対1の状態だ。

「…どうします、ヘッド。俺達二人掛かりなら…」
「いや、ここは引くぞ」

意外な言葉がPoHから出た。俺の見立てだとキリトとPoHは同格。だとすればそこにジョニーが加わればキリトが不利なはず。

同じことを考えたのか、なおも食い下がろうとするジョニーをPoHが声もなく制した。

「まだ、その時じゃあない」

それだけ言うと自分はすぐに踵を返した。それに渋々付き合うようにジョニーも草むらに姿をくらます。

二人が完全に立ち去るのを《索敵》あたりで見届けたのだろう。キリトが背の鞘に剣を納め、肩に刺さったままだったナイフを抜いて投げ捨てながら俺に歩み寄った。

「立てるか?…って足が片方ないのに立てるわけないか」

キリトに引っ張ってもらってなんとか上半身だけを起こす。解毒用らしきポーションを差し出したキリトが「いや、これじゃないな」と呟いた。

「あのっ、それ貰えますか?」

キリトの後ろにくっついていたアカリがそう言った。すんなりポーションがアカリに渡り、受け取ったアカリはトテトテとハズキに歩み寄った。

アカリがしようとしていることを悟った俺は焦ったが、動けないからどうしようもない。俺の歯痒くて仕方ないような顔をキリトが不思議そうに見る。

俺の視線の先でアカ
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