Episode外伝:約束?想い
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約束を、俺が破っていることがバレてしまう。
いや、今はそんなことを考えている場合じゃないか。まずは、さっさと助け出さないと。
「……んっ…?」
「やぁ、お目覚めかい?」
薄暗い建物の中で、エイミィは目をさました。段々と意識が覚醒していき、視界がクリアになると目の前には一人の男がいた。くたびれたワイシャツに、真っ黒なジーンズ。どこにでもいそうな真面目な容姿の男だ。
だが、そのイメージは現実を表していないことをエイミィは知っていた。
「貴方、なにが目的?」
にっこりと微笑みかけてくる男を無視して、エイミィはなぜ自分を攫ったのかを問いかけた。すると、男の顔から人の良さげな笑みがフッと消え、次に浮かべたのはどうしようもない憎悪の滲んだ残忍な笑みだった。
「君は人質だよ。あの暗殺者…九十九隼人を誘き出すためのね!!」
「っ、隼人を?」
「暗殺者」、「九十九隼人」。その二つの単語を聞いて、エイミィは全てを悟り確信に変えた。
一つは隼人への復讐のために自分は人質として攫われたこと。そして必ず隼人が来るということ。
もう一つは、昔に立てた約束が破られてしまっていたこと。
「あいつは、僕の仲間たちをみんな消した!僕がいなかったばかりに!僕の仲間たちはあいつに殺されてしまったんだよ!
フ、フフフフ……早く、早く来い九十九隼人ぉぉ…お前の手足を引き千切って、臓腑抉り出して、僕の仲間たちを殺したことを後悔させながら殺してやるぅ…」
最初の好青年のような姿はどこにいったのか。今の男は完全に隼人を殺すことしか考えていない殺人狂だ。そして、もはやエイミィの存在なんて忘れてしまっている。
「クフフハガフゥッ!?」
油断していた男の腕を、背後から一枚のトランプが切り裂いた。血が流れる腕を抑えながら男が後ろを振り返ると、そこには扇のように広げたトランプを構えるエイミィの姿があった。
『魔弾タスラム』エイミィの本家、名門ゴールディ家の切り札となる魔法だ。
そのからくりはそれほど高度なものではない。仕組みを完全に理解して少し練習すれば天性の魔法センスを持つ隼人でなら一週間ほどでモノにしてしまうだろう。しかし、簡単故に、マスターするのは難しい。
『弾』とするものに条件発動型の遅延術式をかけ、手で投げるだけで移動魔法を発動する射撃魔法。遅延術式をかけているため、敵を前にしてCADを操作する必要もなく、単発、連弾、散弾も思いのまま。非常に使い勝手のいい魔法だ。
(浅かったわね…致命傷にはなり得ないか…けど、まだカードは4枚残ってる。その内に仕留める…!)
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