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SAO――とある奇術師は閉ざされた世界にて――
一章 五話 とあるボロ店での勧誘
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SAOで五指に入るくらい。
少し誇張すると、”蒼の妖精”なんてなんぼのもんじゃーって位に。

実力も相まってSAO中の男の憧れの的な彼女なのだが、先程の反応から見ても分かるように、なぜかキリトというゲーム狂もどきの男に惚れてしまったらしいのだ。

んで、鈍感キリト君はそれに気づかない。

何と未だに一緒にお茶をしたこともないという。

まあ、見ている方にとっては、これ程面白い見世物はないわけで、一応俺は、アスナの恋愛相談係・・・とは名ばかりの、ただの野次馬をやっていた。

「やっぱり避けられてるのかなぁ」
アスナが物憂げに呟く。

その、そこにあるだけで美人粒子を撒き散らす顔を見ていると、何で俺なんかがアスナの前にいるのか不思議に思えてくる。

っていうかキリト、この顔がお前に向けられてると世間に知れたら、お前確実に殺されますよ。

「いっそ、ガンガンいっちまえよ。お前なら大丈夫だと思うぞ」
「えー、そうかなあ」

「むしろ色仕掛けとか」
ニヤニヤとともに俺。
野次馬はいつでも無責任なのです!

投剣用のアイスピックが飛んできたけど。

再び土下座モードに入りそうになる俺だが、アスナがすっとんきょうな声を上げたことで、止まる。

「あ!もうこんな時間!」

店の時計を見たアスナはいそいそと立ち上がって言う。
「ゴメン、用事があるから、これで。」

たったっと出口の扉に駆け寄って、最後にこちらを振り向く。
「ボス戦、待ってるから!」
何かと几帳面な性格である。

「あいあいさぁー」

俺は気の抜けた返事とともに、手をふって見送った。
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