倒せない敵
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空しくウィルスはナナミに埋め込もうとしている。
どうすればナナミを助けられるかも浮かんでこない。
(クソ……俺はいつもいつも、大事な時に何も出来ないんだ……)
奥歯を噛み締めながらにウィルスを睨む。しかし、それでは何も代わらない。
(ハカ…シ…ケ……コロ…)
いい加減聞き飽きるほどに聞こえてくる心の奥底の思い。この思いはなんなのかは自分でももう気付いている。しかし、認めることが出来ない。
だが、もうそんなこともどうでもいい。もう、自分にはどうすることも出来ないのだから。
(破壊して消して殺せ!)
狂気の言葉が自分の中に鮮明に聞こえるようになる。そして、その言葉を聞いてもう自分の狂気の思考に任せることにした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
この女を感染者にしようとする時、不意に一つのノイズに異常が生じたので不審に思い、そちらを振り向く。
そのほうにはゲツガが寝転がっている場所だ。
ゲツガを見ると片腕が少しづつだがノイズから引き出されていくのがみえた。
「おいおい。ノイズから腕を出そうとしてるのかよ。まあこいつは痛みでの拘束だから一つずつなら抜こうと思えば抜けるし当たり前か。それだったら、まずはゲツガからしたほうがいいな。あいつは正直めんどくさいからな」
そしてナナミから手を離すと、ゲツガのほうに向けて足を進める。ゲツガはすでに片腕を完全に取り出していた。
「おいおい、少し速すぎるだろ」
苦笑交じりにいいながら新たなノイズを発生させて再び腕を突っ込もうとする。しかし、その前にゲツガは自分のポケットに手を突っ込んで、何かを取り出した。
「まだ何かするつもりか?」
そういい終えたと同時にゲツガはその手に持った何かを口のところにもっていき咥えた。歯と歯の間には結晶体と化したシードがいた。
「おいおい、何するつもりだ?」
「自分から感染者になろうとしてるんじゃねえのか?」
シードとジュンに入っているウィルスはゲツガの行動に笑う。そしてゲツガは咥えたシードを噛み潰した。
「こいつ、自分から感染者になりやがった!!」
その状態を見て腹のそこから笑った。しかし、次の瞬間には視界からゲツガが消えたかと思うと体は地面に叩きつけられていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
体内に侵入したシードはそこからゲツガのかぶっているアミュスフィアの中枢に向かおうとする。その時にはゲツガの心境などのことが脳からアバターにデータ化されて送られている。
いくつものプログラムを無視して通り過ぎていくと道を塞ぐように剣に縫い付けられ大量の鎖によって雁字搦めにされている巨大な生物のようなものを模した石造のよ
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