第26話 わたしも一緒に
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ても四割程度だと思います。そもそも、蘇生魔法が有るから舞い戻って来られた可能性が高いような状況からの帰還を果たしたばかりで、明日の夜までに完全回復させてくれ、と言う事自体がナンセンス。
病人は素直に寝て居ろ、と言われる可能性の方が高いはずですから。
但し、そんな事を言われたトコロで、はいそうですか、と言って大人しく寝ている人間でない事は、彼女……。玄辰水星ならば嫌と言うほど知って居るはずですから。
彼女が、かつて俺の知って居た、あの少女と同じ存在ならば……。
玄辰水星が、彼女の属性に相応しい瞳で俺を見つめる。その瞳は、まるで探るような瞳。
それはかつて彼女の傍らに存在して居た俺を見定めようとしている行為。夢の世界の俺が愛した瞳で、俺の事を見定めようとして居る。
今回、死に瀕した際に俺の身に何かが起きて居ないのか、確認する為に……。
俺の視線と彼女……玄辰水星の視線が、下界の喧騒から隔てられ、夜の静寂と人工の照明によって支配された世界の中心で交わった。
夢の中と同じような雰囲気で……。
僅かな拮抗。妙な重苦しい雰囲気の空白の後、まるで根負けしたかのようにひとつ大きくため息を吐く彼女。これは、間違いなく諦めた者の証。
そして、
「流石に一番簡単な方法は、試す訳には行かないわね」
……と、そう聞いて来た。
一番簡単な方法か。
そう考えた後、玄辰水星の後ろに着いて部屋に入って来て以来、扉の傍に立ち続けて居る少女に一度視線を送り、少し首を横に振る俺。
「流石に難しいですね」
当然のように、そう答える俺。
確かに、その一番簡単な方法と言うのも概要ぐらいなら知って居ますし、詳しい内容が知りたいのならば、すべての知識を授けてくれる式神。ソロモン七十二の魔将の一柱、魔将ダンダリオンに方法を問い掛ければ間違いなく教えてくれるでしょう。
但し、流石にそれを実行するのは俺には無理ですから。
先ほど、一瞬だけ彼女を見つめた事に対して、少し訝しく思ったのか俺の事を真っ直ぐに見つめる有希。
その視線は、少し問い掛けるような雰囲気。
俺は、小さく首を左右に振る事に因って答えと為す。
更に、
「後、大きな霊気を霊道に一気に流す方法も難しいので……」
完全に穢れを浄化出来ないのなら、詰まっている穢れを一気に流す、と言う荒っぽい方法も確かに存在するのですが……。
しかし、その方法は、俺と霊的に繋がって居て、俺から霊気の補充を受けて居る有希に結果として穢れを押し流す事に成る可能性が高く、更に、許容量以上の霊気を有希が受け取る事にも成りますから。
これでは、彼女に何らかの悪影響が発生する可能性が高く成りますからね。
「故に、現状の私で
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