第五十六話
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〈サラマンダー〉》の炎よりは俺の剣の性にあっている。
……猫妖精〈ケットシー〉? 素早さは高いが色々と論外である、主に外見の問題から。
他には幻覚を使うという《影妖精〈スプリガン〉》も気になったが、幻覚とはますます正当な剣技から離れてしまうのと、世界樹攻略から遠いことから候補から外した。
種族選択も終わり遂にゲームが始まるのか、床が消えて落下していくと、美しい街並みが地下に見えてくる。
二年ぶりになるフルダイブの開始の感覚に、なんとも俺は嫌な感覚に陥りながらも、街の中央にそびえ立っている塔へと降りていった。
「つうっ……」
フルダイブに入ることに慣れていない俺にとって、開始の証とも言える目眩を乗り越えると、目の前には巨大な塔が立っていた。
辺りを見回してみると、夜の闇の中に浮かぶ深緑の建物が並んでおり、現実ではそうそう見えない幻想的な光景が広がっていた。
流石はALO一美しいと評判の種族であるシルフの首都《スイルベーン》であり、俺の趣味には合わないとはいえ行き交うシルフの人々と併せ、金色と深緑と夜の光は美しいの一言だった。
しかし、その光景はSAOの名物スポットで見たことがあり、どこか既視感を感じさせざるを得ない……そう思ったところで、急いで右手を振ってメニューを表示させた。
俺の心配とは裏腹に、メニューの一番最後にはきちんと《ログアウト》ボタンは存在し、ここはSAOではないのだと安心させた。
「……とことんビビりだな、俺は……」
そんな事態になっていたら、今ごろSAOの再来だの何だの騒がれているだろうに、俺はSAOやフルダイブに対して身構え過ぎなのだ。
そうして目の前にあった鏡に、ため息を吐く趣味の悪い格好をする妖精がいるな、と発見する……言った側から現実逃避をしてしまったが、どう考えてもその妖精は自分であろう。
SAOとは違ってランダムに割り振られたその外見は、一言で簡単に言うと『家柄の力を自分の力だと勘違いしている長髪』といった感じだろうか。
その髪の毛が金髪であることもそのイメージを加速させ、やはり金色は見るだけに留めるべきだと再実感する。
しかし俺は、どうにもこういう『自分以外の肉体』を動かすのは抵抗がある方だが、今回は身長がほぼ同じなので良しとしよう。
まずは俺の置かれている状況の確認だろうと、とりあえずは先程出したメニューを探ってみることにすると、まずは《アイテム》のボタンをタッチした。
当然始めたばかりなのだから、初期装備ぐらいしかないだろうと思っていたのだが、俺のその予想に反してアイテムは大量に埋まっていた。
最初の方は、いかにも初期装備といった感じな簡素なアイテムが並んでいたが、それら以外のアイテムは全
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