part19 過去 そして 謝罪 そして ……
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。……コイツだってわざとやったわけじゃないしな。……それに神界に
帰れないということは親に会えないということ。
……コイツは親がいるのに、会いたくても会えない……そんな状態なのだ……俺のせいで……
おまけに文句ばかり言う俺に、愛想をつかすこともなく付いて来てくれた。料理も作ってくれた、勉強も教えてくれた、特訓のコツも教えてくれた……普通なら愛想をつかし……いやコイツの立場なら、金を作り出し刃物を買い、俺を刺殺してでも神界に帰れるようにしたい、そう思ってしまうことも有るかもしれない。
……なのに俺についてきてくれた、共に笑ってくれた、話し相手になってくれた……そして俺のために怒ってくれた、泣くのを許してくれた……こんなにお人好しで、優しい奴を俺は知らない……。
転生前の世界では、俺は妬まれていた……運動神経がいいだけで、有名大学に推薦された、受かったからだ。
それまでいた友達も殆どいなくなってしまった……そいつらは必死に勉強してそれでも受からなかったのに、運動神経がいいだけで、大学に受かった俺が妬ましいかったんだろう……もとより、その運動神経の良さも憎まれていた。
ある日、幅跳びで部活をやっている奴を抜き、一番の記録を出したことがあった。……そいつの目は
”俺が苦労してたどりついたのを簡単にぬきやがって”……そういう目をしていた。
思えばあれからイジメが始まったんだよな……だが、暴力振るおうにも運動神経いい+身長高い、俺にはかなわないと見たのか、よくある陰湿なイジメを受けた。
……辛いといえば、辛かった。友達がいなかったら、引きこもっていたかもしれない。
だがその友達もここまでお人好しではなかった……ラノベを紹介してくれた奴も、最後は俺から離れていった。……だが、一度授かった命を無駄にはしたくなかったので、自殺だけは絶対に考えることをしなかった……結局死んじまったけどな……。
「……謝らんで良い……お主の気持ちは……わかったからの……」
「……だが……」
俺が渋ると、シャグリーンは少し怒ったような顔をし、
「じゃから、謝るなと言うておろうが! お主は他人に気にするなと言っておきながら自分はねちねち気にし続けるのか? お主は覚悟決めて、変わったんじゃろうが!」
……そうだ、そうだったな……そうだったよな!
「ああ! お前の言うとおりだ! シャグリーン!
改めて……よろしくな、親友!」
シャグリーンはキョトンとした顔をし、そして……
「うむっ! よろしくの! わしの親友、翔太!」
綺麗な笑顔を見せた……
見とれてしまう程の、花が咲いたような笑顔を。
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