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GGO編ーファントム・バレット編ー
55.恐怖の黒銃
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がある水中か洞窟、それ以上にスキャンを避けられる場所はないはず」

「OK。なら、次のスキャンで死銃の場所を特定したら、奴が誰かを撃つ前に強襲しよう。俺が突っ込むから。シノンは掩護を頼む」

「......それはいいけど......」

シノンは肩をすくる。

「一つ問題があるよ。《死銃》はあいつの正式なキャラネームじゃないこと、忘れてんしでしょうね?名前が判らないと、レーダー上で位置を突き止められない」

「う........そ、そうか」

光剣使いは眉をひそめ、考え込む。

「確か.......出場者三十人の中で、シノンが知らない奴は四人だったよな?そのうち、俺が追い掛けてた《ペイルライダー》は死銃じゃなかった。てことは、残りの三人......《銃士X》か《スティーブン》、《リューゲ》のどれかが奴だ......。街にいるのが片方だけならそいつで決まりだけど......」

「もし全員いたら、迷ってる余裕はないわよ。どれを攻撃するか今決めておかないと。.......あのさ、今ふと思ったんだけどさ.....」

こほん、と咳払いして続ける。

「......《ジュウシ》をひっくり返して《シジュウ》。《X》は《クロス》、あいつがやってた十字のこと......ってのは、さんがに安易すぎ.....よね」

「う、うーん.......いやまあ、VRMMOのキャラネームなんて基本みんな安易だと思うけどな。俺は本名のモジリだし.....君は?」

「.........私も」

互いに微妙な視線を交わしてから、同時に一度咳払いをし、一拍おき、キリトが意を決したように告げる。

「よし、廃墟に全員いた場合は《銃士X》に行こう。もし俺が、ペイルライダーと同じようにスタン弾に撃たれて麻痺しても、慌てずその場で狙撃体勢に入ってくれ。死銃は必ず出てきて、あの黒い拳銃で止めを刺そうとするはずだ。そこを撃つんだ」

「え........」

その言葉を聞いた瞬間、残り時間も忘れ黒い瞳を見つめ、問いかける。

「......なんで、そこまで.......」

(私を信じれるの?)

「......だって、私が死銃じゃなく、あんたを背中から撃つかもしれないのに......」

するとキリトは、意外そうな顔をしたのちに小さく微笑んだ。

「君がそんなふうに俺を撃たないことくらい、もう解ってるさ。さあ......時間だ。頼むよ、相棒」

そして黒衣の光剣使いは、シノンの左腕をぽんと叩き、川床から市街地へ上がるための階段に向かい歩き始めた。




「う.......っ......」

霞む視界と聞こえない耳が徐々にその機能を取り戻していく。

「クッソ........あいつ....」


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