アインクラッド 前編
噛み合った歯車
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こちとら酒飲んで酔っ払ってんだ、何がおかしいんじゃボケェ!」
「ほら、シャンパンくらいなら帰ってからいくらでも飲ませてやるから、ホラ歩け」
「マジ!? マジだな!? 俺覚えたからな!!」
「ああ、分かった、分かったから歩け……って、寝やがった…………ハァ…………」
最早突っ込む気にもなれず、マサキは一つ盛大な溜息をつくと、いびきをかき始めたトウマを引きずってトボトボ歩き始めたのだった。
「……なぁ、マサキ……誕生日プレゼント……何がいい……?」
「プレゼント……?」
「…………」
宿まで百メートルを切った頃、眠っていたはずのトウマが急に呟いた。驚いたマサキは立ち止まって問い直すが、聞こえてくるのは寝息ばかり。
「……寝言、か」
マサキは苦笑すると、再びひんやりとした夜道を歩き出す。
「しかし、誕生日プレゼントか……何年ぶりに聞いたことか……」
呟くと、マサキはもう一度苦笑を口元に刻み、目を細めながら空を仰いだ。夜の闇が横たわる天井には相変わらず星も月もありはしない。
しかし、マサキの瞳は確かに、一筋の光明を捉えていたのだった。
この日を境に二つの歯車が噛み合った物語は、今までよりも遥かに速く展開していくこととなる。
――速く回ればその分だけ、どこかに歪が現れる。
そんな、至極単純なことさえ分からずに……。
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