暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 前編
噛み合った歯車
[6/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
《・》()()()()()()()()()()()()()()

 ―― 一般のソードスキルには、どのように体を動かし、どのように剣を振るい、どのように相手を攻撃するのか。といった、いわゆる“型”が存在し、システム上で定義されている。例えば《バーチカル》ならば単発垂直斬り、《ホリゾンタル》ならば単発水平斬り、といった具合だ。
 しかし、《風刀》スキルにおいて定義されているのは、攻撃の際“どのように移動するのか”という一点のみ。どのように剣を振るって攻撃するのかは定義されていない。つまり、攻撃側がその場で自由に決定できるということ。これにより、相手は初動のモーションから技の軌道を予測することができなくなり、しかも自分は相手の技を予測した上でその技に対して優位な軌道で斬りかかる、言わば“後出しじゃんけん”が可能になる。
 ――“ソードスキルを作るソードスキル”。それが、この《風刀》スキルなのだ。

「んなっ……!」

 こちらが“後出し”をしたのに気がついたトウマは慌ててパリィを諦め回避に移ろうとしたが、もう遅い。その名の通り高速で移動しつつ斬りかかる六連撃技《疾風(はやて)》の初段がトウマの左肩口を抉る。
 マサキは刀を振りきった時点で反転、二撃目を打ち込む。が、しかしこれは強引なステップで前方に跳んだトウマの背中をかする程度に終わる。
 ならば、とまだ体勢を整え切れていないトウマに追撃を叩き込むべく、マサキは刃を振り切る前にもかかわらず更に踏み込もうとする。
 ……しかし、それは叶わなかった。体重をかけた右足が地面についた途端、それまでの速度が嘘の様に消え失せ、体が硬直する。
 これが“型”を廃止した《風刀》スキルのデメリットの一つ。仕掛けるときの体勢に少しでも無理があった場合、技がキャンセルされてしまい、硬直時間が課せられてしまう。

「!? しまっ……!!」

 異常に気付いたマサキが驚愕の声を漏らすが、その硬直が消えることはなかった。その隙にトウマは距離をとり、崩れていた体勢を立て直す。マサキは苦々しげにトウマを睨み、硬直が解けるや蒼風を構えなおす。

「何だよそのスキル! チートじゃねーか!!」
「文句はGMに言ってくれ」

 軽口の応酬をしつつ、マサキは再攻撃のチャンスをうかがう。攻略組では防御を重視するスタイルのせいでマサキやキリト、アスナなどの影に隠れていて目立たないが、彼もトッププレイヤーの一員なのだ。そして先のボス戦で見せた回避力とパリィ能力は、恐らく全プレイヤー中でも一、二を争う。無闇に斬りかかれば、間違いなくやられるだろう。

(……だったら)

 マサキは左手で腰から投剣を抜き、ライズシュート》で放
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ