暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 前編
噛み合った歯車
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
つ大剣と交錯し、甲高いノイズが空気をビリビリと震わせる。
 一瞬動きが止まるかに思えた双方の剣だったが、筋力値の差を埋めることは叶わず、せり上がってきた蒼風の刀身を跳ね除けるようにして再び大剣が降下を始める。
 しかし、マサキにとってそれは想定通り。弾くつもりなどは毛頭なかったのだ。
 マサキは振り下ろされる大剣の軌道が僅かに逸れるのを確認すると、右手を引き戻しつつ、向かい来るトウマの懐に入ろうとする。
 だが、その目論見は、更に遅れて迫ってきた左膝によって頓挫させられた。
 ――大剣による突進攻撃を陽動に使い、カウンターを狙う相手に対し更に体術スキルによる膝蹴りでカウンター。普段ならマサキが得意とするようなトリッキーかつ低威力の攻撃だが、あくまでHPの半分を減らせば勝利となる初撃決着モードにおいては、かなり有効な攻撃だ。

 ――だが、まだ甘い。
 マサキはトウマの珍しい攻撃に対して口元を獰猛に歪めると、踏み出しつつあった右足のつま先にかけられていた体重を一気にかかとまで後退させた。急に重心が移動した反動を利用して一回転しつつ、体の軸をずらして飛び来る膝をかわす。さらに右手に握っていた蒼風を左手に持ち替え、回転の力を上乗せした刃で斬りかかる。
 ――が。

「せりゃあぁぁぁぁっ!!」

 左から右へとスクロールする視界の中で、水色の閃光が迸った。マサキが首を捻って確認すると、そこにはライトエフェクトを纏いながら向かってくる一つの刃。
 前方180°の範囲を薙ぎ払う両手剣単発技《ブラスト》。

「チッ!」

 マサキは鋭く舌を打つと、なけなしの筋力値と鍛え上げた《軽業》スキルとを振り絞って地面を蹴り飛ばした。それでも先端が掠ってしまったようで、HPバーが一割程度減少する。顔をしかめながらさらにバックスッテプで距離を取り、技後硬直から回復したトウマと再び対峙する。

「珍しく頭を捻ったじゃないか」
「ま、伊達にマサキの戦い方を今まで観てきたわけじゃないって感じだな」

 軽口を叩き合うが、その間も一瞬たりとも気を抜くことはない。

 そして、幾ばくかの睨み合いの末、今度はマサキが仕掛けた。敏捷一極型ビルド故の速度にシステムアシストを上乗せして斬りかかる。右手に握る蒼風の刃が光を纏い、夜の街道を照らす。トウマももちろん黙って突っ立っているはずはなく、迎撃のために剣閃を繰り出す。
 そしてその瞬間、マサキの脳内でスパークが弾けた。一気に最高速まで引き上げられたギアからバチバチと電気信号が迸り、脳全体に信号を運ぶ。視界から得られたトウマの筋肉の映像(データ)が方程式に分解され、割り当てられた解が未来の位置で再構成される。
 マサキはその情報を使い、()()()()()()|把
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ