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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 前編
噛み合った歯車
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われたレンガ造りの道はしかし、両脇に設置されている街灯で照らされているため、ある程度の明るさは確保されている。人通りは少なく、時折NPCの姿を見かけることはあってもプレイヤーの姿はない。恐らく、この店自体が裏通りにあるためだろう。衆目を集めることなくデュエルを行うには絶好のロケーションだ。

「……本当にここでデュエルするのか?」
「ああ。……俺、今までずっと、マサキにおんぶに抱っこだった。……今日だって、俺がマサキを助けようとしたのに、結局俺がマサキに助けられた。――だから、確かめたいんだ。俺が、これからもマサキの傍で戦っていけるのか」
「そんなことは――」

 トウマの言葉を否定しかけて、マサキは口をつぐんだ。街灯のみの明るさではトウマの詳細な表情までは判断できなかったが、それでも彼が真剣であることは視線と雰囲気で十分に分かる。
 マサキは口の中に留まっていた言葉を呑み込むと、代わりに一つだけ溜息を吐いた。

「……分かった。もう何も訊かん」
「ありがとう。それじゃ、俺もマサキについてあれこれ訊くのは終わってからにする」
「ついでに、礼を言うのも終わってからにしてくれ」

 爽やかに笑うトウマに、マサキは苦笑交じりで言った。トウマも同じような笑みを口元に刻むと、ウインドウを操作しながら数メートルの距離を取る。
 そこから数瞬遅れて視界に出現した半透明のウインドウ、研ぎ澄まされたトウマの雰囲気、その背中に吊られた両手剣。それら全てが否応なしにマサキの脳のギアを引き上げる。
 マサキは一度息を吐くと、表示されているYesのボタンを押した。モードは初撃決着。二人の中央に現れたウインドウで減っていくカウントが、周囲に流れる緊張の糸をより張り詰めさせていく。

「あー、でもミスった。いつの間にか出てきたその刀のことだけでも聞いとくんだった……」

 5

「残念、もう言質は差し押さえ済みだ。終わってから好きなだけ喋ってやるよ」

 4

「分かってるけどさ……。あ、でも一つだけ。そういえばその刀、ボスのHPを一撃で半分削ってたよな?  ……俺、掠っただけで死亡とか嫌なんですけど」

 3

「なに、心配するな。恐らくあれは姿を消す代わりに防御力が大幅ダウンしていただけだろうさ」

 2

「ならいいけど。……まあいいや、それじゃ――」

 1……

「――行っくぜえぇぇぇぇっ!!」

 正面で弾けたDUEL!! の文字を突き破るようにして、トウマがその有り余る脚力で地を蹴った。その勢いのまま一気に距離を詰め、見るからに重そうな大剣を振り下ろす。

「セッ!」

 マサキは振り下ろされる剣の軌道を冷静に読み取ると、鞘から蒼風を抜き放ち、迎え撃った。仄かに蒼い半透明の刀身が鈍い光を放
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