第十七章
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し、いつまであいつの脅迫に耐えるつもりなんだ?」
南はいきなり泣き声になった。
「あの時、俺は、ただ魔が差しただけだ。あの一瞬が全てを台無しにした。奴に付け込まれた。」
「佐久間と竹内に付け込まれたんだな。」
南は黙ったままだ。
「佐久間と竹内なんだろう。」
「ああ、そうだ。飯島、助けてくれ。お前はいつだって俺を助けてくれた。そうだろう。頼む、助けてくれ。おれは怖い。奴は人間の皮を被った悪魔だ。あんな人間だったなんて、思っただけでも身震いする。」
「やつが怖いだと?佐久間なんてただのキチガイだ。」
南の感情が爆発した。
「佐久間じゃない。竹内だ。奴は金のためなら殺しなんて何とも思わない。俺は、あいつを侮っていた。奴は人間性の欠片もない、冷酷で残忍なキチガイだ。」
「分かった、南。もう何も言うな。助けてやる。何か良い方法があるはずだ。」
「今日、会えないか、飯島。」
「ああ、会おう。新宿のあそこで待ち合わせよう。東口の改札を出て、左に行った所。何
といったか忘れたが、よく待ち合わせに使ったあの地下街の小さな喫茶店だ。」
「ああ、覚えている。6時には行けると思う。」
「待っているぞ。」
そう言って、電話を切ると、レコーダーを封筒に入れた。どこかで、ポストに放り込むつもりである。明日には花田の手元にとどくだろう。
6時を過ぎても南は現れなかった。1時間ほど待って、喫茶店を出た。ふと、視線を感じて振りかえると、サラリーマンの群れに紛れて怪しげな男が飯島を見詰めている。男はすっと柱の陰に隠れた。
飯島は携帯で南の自宅に電話をいれた。出てきたのは香織である。
「あら、飯島さん、よく電話できたわね。警察に写真のことを密告したでしょう。でも、あれは絶対に喋れないって言ったはずよ。あれが公表されたら、私、自殺するわ。」
「いや、あれは俺が喋ったわけではない。殺された和子の旦那だ。それより、南の旦那と待ち合わせたがまだ来ない。もう、家に帰っているのか。」
「いいえ、会社からまだ帰っていないわ。」
「そうか、分かった。それから、香織さん、あんたに頼みたいことがある。俺が命を狙われていることは言っただろう。助けてほしい。」
「ええ、いいわ。何、私に出来ること。」
「ああ、出来る。実は、向田敦が佐久間と繋がっている。どういう訳か、佐久間に協力しているんだ。会長から向田社長、そして向田社長から飯田組に圧力をかけてくれ。敦の動きを封じたい。今、電話してくれないか。」
「ええ、分かった。父に電話してもらう、今すぐ。もし本当だとしたら許せないわ。向田社長は佐久間が私を襲ったことを知っているはずよ。その息子が、何で佐久間に協力しなければならないの。もし、本当だとしたら、絶対に許せない。」
「ああ、頼む。会長にも、向田社長にすぐに電話す
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