第十五章
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ルでなくてもよかった。たまたま、自分達が泊まっているホテルに来ることを知って、和子をホテルで襲うことにした。そんな都合の良い話があってたまるか」
「でも、それ以外考えようがない。」
「警察は知らないが、我々は、あの写真のことを知っている。奴等の目的は、和子を辱め、その写真を撮ることだったはずだ。そうじゃないですか。奴等は、カメラやビデオ、そして照明器具を用意してあの部屋で待っていたはずだ。あのホテルで襲うことが前提だった。」
「何が言いたいのですか。」
「つまり、ホテルで襲うことが目的だとしたら、誰かが、そこに来るよう和子に指示を与えなければならない。そして和子が何の疑念も抱かずにホテルの部屋に来るとすれば、指示する人間は限定される。つまり、石原さん、あんたしかいない。」
飯島はここで一息いれた。そして続けた。
「つまり、竹内とヤクザは、和子がホテルに来ることを予め知っていたことになる。石原さん、どうして和子をホテルに呼んだのです?」
「どうしてって、依頼人が仙台の代理人に戸籍謄本を速達で送るよう指示したのですが、代理人は誤って普通郵便で送った。速達であれば朝着きますが、普通郵便だと午後になります。つまり、依頼人と11時に約束していましたが、出かける直前まで届かなかったので、午後一だと判断して和子に持ってくるよう指示したのです」
「どうやら、読めたぞ。それが佐久間の策略だったんだ。最初から約束の時間に間に合わないよう普通郵便で送っておく。当然、午後届く戸籍謄本を和子が届けることになると読んでいた。だから竹内等は前日からチャックインして待機していた。」
「しかし、内海さんは40代初めくらいでしたよ。確か、佐久間は56歳でしょう。私だって、そのくらい区別できます。」
「なにー、40代初めだって。そんな馬鹿な。」
「でも、飯島さん、その仮説は良い線いってますよ。確かに、仰る通りで、私が和子に郵便を届けるよう指示しなければ、佐久間の目的は達成されなかった。佐久間の目的を知っていれば、飯島さんの言うように、内海が佐久間の仲間であるという仮説が成立する。もしかしたら、僕も騙されていたのかもしれない。」
「内海はどんな相談をされたんです。」
「内海は、複雑な家庭環境での遺産相続を相談に来られたんです。内海の義理の親はまだ死んでおらず、相談そのものが秘密でした。内海さんは、都内の方なので、わざわざ遠くの八王子の弁護士を探したと言ってました。」
石原は目をつぶり、記憶を手繰り寄せ、頭を整理してるようだった。目を開けると言った。
「兎に角、今、内海さんに電話を入れてみましょう。」
と言って、名刺ファイルをテーブルの下から取り出した。ほどなく内海の名刺を探しだし、ダイヤルを押した。しばらくして相手が出たようだ。石原が話し始めた。
「あっ、どうも、
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