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無明のささやき
第十五章
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にそんな酷い事件を引き起こす連中って、全部で何人なんだ。その佐久間と竹内と殺された男…それと?」
「そんなこと、僕に分かるわけないでしょう。今言えることは、あの部屋で死んだ男は間違い無く竹内の仲間だってことです。とにかく佐久間の周辺を洗えば、何か出てくるはずです。」
「しかし、まあ、何と言うか、あんたの言うその殺人集団は、佐久間が主犯格で、リストラされたことや自分の元奥さんが寝取られたことの恨みを晴らすために殺人を繰返しているわけね、何か、ちょっと眉唾だね。まあ、そのことは、追々調べてるとして・・・・。」
飯島はため息をついた。吉益刑事が上目使いに飯島の顔色を窺がいながら聞いた。
「その、なんだ、飯島さんがそのヤクザから拳銃を奪った。その直後、外の男が叫んだわけだ。」
「ええ、正一、伏せろってね。」
飯島はひやひやしながら答えた。向田から買った拳銃を、死んだ男から奪ったと嘘をついた。つまり、死んだ男が銃を二丁持っていたことになる。吉益はその嘘も疑っている。
「でも、飯島さん。俺たちだって、半年に一回、拳銃を撃ちに行くけど、あれ殆ど当たらないよ。おたくは、飛びながら、外の男めがけて銃弾を一発お見舞いしたわけだ。だけど初めての人が、何で当たるわけ。ジェームス・ボンドじゃあるまいし。」
「だって、当たったんだからしょうがないでしょう。俺にだって何で当たったかなんて答えようがないでしょう。」
もういい加減、こんなやり取りはご免だった。飯島は、何度も八王子警察署の花田を呼んでほしいと訴えていたのだが、吉益はのらりくらりと惚けて、電話しようとしなかった。
「吉益さん。いい加減、八王子警察の花田さんに電話して下さいよ。その人が、別れた女房の襲撃事件の担当刑事なんです。」
吉益は不機嫌そうな顔をしていたが、しかたなさそうに電話を手に取った。花田まで辿り着くのに多少時間がかかった。吉益が、花田に事情を説明しているあいだ、飯島は吉益の煙草を頂き、火を点けた。
 しばらくして、吉益が受話器を飯島に差し出した。受話器の向こうから花田刑事の声が響いた。
「事情は聞いたよ。どうやら、あんたの言っていたことに真実味が出てきた。でも、良かった、あんたが死んでいたら、俺も寝覚めが悪いよ。あんたの元奥さんが事故で死んだと聞いて、厭な予感がしていたんだ。兎に角、今日の所は、帰すように言っておいたから、ゆっくり休んでよ。」
「ああ、兎に角、昨日から殆ど寝ていない。」
「検死解剖で、そのヤクザに撃ち込まれた弾と、あんたの撃った弾、つまり壁から採取された弾とが違うと分かれば、あんたの容疑は晴れる。また呼び出しが掛かると思うけど、協力してやってくれよ。」
「ええ、分かりました。兎に角、俺の言っていたことは全て本当のことで、妄想なんかじゃありませんて。竹内の写真を手に入れて
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