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無明のささやき
第十二章
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警察に何か言えばお前もあの世行きだ。分かっているだろう。コンクリート詰にされて海の底だ。」
「ああ、分かった。俺もあんた達を敵に回したくない。」
「分かればそれでいい。俺だって殺しは最後の最後だ。そうだろう、殺しは、やった人間でなければ分からないが、ねばねばと心にまとわりつく。いつまでもな。」
「分かったよ、あんたはかつて人を殺したことがあるってことだ。俺も死にたくない。警察には何も言わんよ。言いたくても証人も証拠となる写真もない。」
「分かればいい。」
飯島の素直な返事に、向田はようやくヤクザとしての自尊心を回復したようで、汚れたコートを両手で何度か掃って、ドアに向かった。飯島が、その後を歩いてゆく佐野に向かって、声を掛けた。
「おい、佐野君。君は、いい営業マンになれるぞ。ヤクザなんて辞めて、うちの会社に来ないか。その方が出世するかもしれんぞ。」
佐野は、少しだけ飯島に顔を向け、照れくさそうに微笑んで頭を下げた。向田が、振り向いて、思いきりスキンヘッドの頭を叩いた。パシンという乾いた音がした。
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