第14話
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
械音声が連続ですると、コカビエルを飲み込んでいた魔力がみるみる小さくなっていく。僕の放った一撃は普段の神討つ剣狼の銀閃以下まで半減させられた。
そしてコカビエルは魔力嵐の中から落下する。受け身を取ることもできないようで、ボロボロの様子で地面に衝突した。
「フフフフフ、お前名前は? 俺はヴァーリ」
「兵藤渚だ」
「覚えておこう。お前の名を」
そう言って、地に降り立ちコカビエルが立っていた辺りに歩いていく。
「いいざまだな、コカビエル。アザゼルに言われたとおりお前を回収するぞ」
コカビエルは全身傷だらけというか、辛うじて原形をとどめていると言っていいだろう。両腕は崩壊し、十枚あった翼も見るのも無残になっている。
ヴァーリと名乗った青年はコカビエルを担ぎ、さらに転がっているフリードも担いだ。そして、光の翼を展開し、空に飛び立とうとする。
『無視か、白いの』
すると、兄さんの『赤龍帝の籠手』の宝玉が光って、そこから初めて聞く声がした。
『起きていたのか、赤いの』
アルビオンの鎧の宝玉も光って声を発した。どうやら、二天龍同士のお話らしい。
『せっかく出会えたのにこの状況ではな』
『いいさ、いずれ戦う運命だ。こういうこともある』
『しかし、白いの。以前のような敵意が伝わってこないが?』
『赤いの、そちらも敵意が段違いに低いじゃないか』
『お互い、戦い以外の興味対象があるということか』
『そう言うことだ。こちらはしばらく独自に楽しませてもらうよ。たまには悪くないだろう? また会おう、ドライグ』
『それもまた一興か。じゃあな、アルビオン』
二龍の会話はこれで終わった。青年が宙に浮かんでいく。
「キミがもっと強くなるのを待っている。俺の宿敵くん」
最後に兄さんに向かって言い放ち、二人を抱え青年は飛び去っていた。
「これで、終わりか」
ボロボロの校庭を見渡した。きっと僕が神討つ剣帝龍の咆哮を地上に向けた撃ったらもっとボロボロになっていたに違いない。まあ、あれは兄さんからの譲渡があって初めてできるような技なので、そうそう使う機会もないだろう。
「やったじゃねぇか、色男! へぇー、それが聖魔剣か。綺麗じゃないか」
緊張が抜けたのか、兄さんは祐斗へと駆け寄って、聖魔剣を見ている。白と黒、反する色が混じってできた剣は確かに美しかった。
「イッセーくん、僕は―――」
「今は言いっこなしだ。いったん終了でいいだろう?」
「・・・・・・・そうだね」
祐斗ももとに戻ったようでよかった。
「祐斗」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ