第12話
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届いた。僕の魔力は彼らの助けになったらしい。祐斗は僕の方を見てきた。その眼からは涙があふれている。
そして、他の子供たちも同調するように口を開く。聞こえてきたのは、詳しくない僕にはわからないが、おそらく聖歌。
「――聖歌・・・・・・・」
アーシアさんがぽつりとつぶやく。どうやらあっていたらしい。祐斗も彼らにつられるように聖歌を口ずさむ。歌う彼らは無垢な笑顔を浮かべていた。
歌う彼らの魂が輝き始める。その光は祐斗を中心に強くなっていた。
『僕らは、一人ではダメだった―――』
もう僕の魔力の手助けを必要としないだろう力強い声に、魔力の放出をやめる。
『私たちは聖剣を扱える因子が足りなかった。けど―――』
『みんなが集まれば、きっと大丈夫―――』
悪魔は聖歌を聞くとダメージを受けるはずなのに、この場にいる誰一人として苦しんでいる者はいなかった。自然に涙がこぼれていく。
『聖剣を受け入れるんだ―――』
『怖くなんてない―――』
『たとえ、神がいなくても―――』
『僕たちの心はいつだって―――』
「―――ひとつだ」
魂が天へと昇り、祐斗のもとへ降り注ぐ。その光は優しく祐斗を包み込んだ。
そして、祐斗から感じられる力が増大していく。
(ああ、そうか・・・・・・これが)
薄れた原作知識の中でも忘れられなかったワード。
神器は所有者の想いを糧に成長しながら強くなっていく。しかし、それとは別の領域が神器には存在する。所有者の想いが、願いが、この世に漂う『流れ』に逆らうほどの劇的な転じ方をした時に、神器は至る。
それを表す言葉。それが『禁手』
夜の空を切り裂いていく光は祐斗を祝福しているようだった。
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