第12話
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》のことだ、因子を抜き出しても被験者を殺すまではしていないようだな。まあ、私よりは人道的だろう。クハハハハハハ」
愉快そうに笑うが、こちらにとっては不愉快でしかない。聖剣使いを生み出すためには犠牲が必要になる。祐斗はその犠牲になったわけか。
「同志たちを殺して、因子を抜き出したのか?」
祐斗が殺気のこもった声でバルパーに問いかける。
「そうだ。この球体はその時のものだ。三つほどフリードに使用してしまったがね。これは最後の一つだ」
「ヒャハハハハハ! 俺以外の奴は因子についていけなくて死んじまったけどな! 俺様はスペシャルだねぇ!」
「・・・・・・バルパー・ガリレイ。自分の研究のためにどれだけの命を弄ぶつもりだ」
祐斗の手が怒りで震えている。そして怒りから生み出される魔力が祐斗の体を覆った。
「ふん。それだけ言うのならば、この因子をきさまにくれてやる。環境が整えばあとで量産できる段階までは研究できている。まずはこの町を破壊しよう。そして、世界各地の聖剣をかき集めて、聖剣使いを量産し、統合されたエクスカリバーでミカエルと教会に戦争を仕掛けてやる」
バルパーとコカビエルが手を組んだ理由がそれか・・・・・・・。どちらも傍迷惑で気にいらない。
話し終えたバルパーは、聖剣の因子を祐斗に向かって放り投げた。コロコロと転がり祐斗の足もとに行きつく。
「みんな・・・・・・・」
祐斗はしゃがんでそれを拾う。その瞳からは涙が流れていた。表情には悲哀の感情と怒りの感情がうかんでいる。
そんな時だった。祐斗が拾った因子が淡い光を発して、その光で校庭を包むまで拡大していく。そして、ぽつぽつと光が人の形をとっていった。
祐斗を囲むように現れた光でできた少年少女たち。
「この場に漂う様々な力が因子に宿っていた魂を解き放ったようですね」
朱乃先輩がそう言った。ということは、あの少年少女たちは祐斗の同志と言うことだろう。
祐斗はそんな彼らを見つめ、悲しそうでもあり懐かしそうな表情になる。
「ずっと・・・・・・・ずっと、思ってたんだ。僕だけが生きていていいのかって・・・・・・・。僕よりも夢を持っていた子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な暮らしをしていいのかって・・・・・・・」
祐斗の同志である一人が、なにかを口パクで訴える。読唇術ができないので何を言っているかわからない。でも、様々な力がこの現象を引き起こしたなら・・・・・・・・。
僕は彼らの力になるように念じながら魔力を放出した。銀色の魔力の輝きが少年少女たちの魂に届くように。
『自分たちのことはもういい。キミだけでも生きてくれ』
声変わりのしていない幼い声が、僕らの耳に
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