第7話
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を取って、口の横についていたクリームを拭ってあげた。
「ん・・・・・・・」
なすがままにされる様子は、小さな子供を連想させる。
「これで良し。綺麗になった」
「ありがとう」
お礼を言われたのを少し意外に感じたのは、たぶん彼女に失礼だろう。
「それで、ごめん。協力はできないよ」
今の仲間を裏切ることはできない。僕が出した結論だ。
「・・・・・・そう」
心なしかしょんぼりした様子のオーフィスを見ていると、なんだか罪悪感が湧いてきた。
「あと、一つ訊きたいんだけどさ」
「何?」
「次元の狭間って何があるの?」
しょんぼりしたオーフィスにふと浮かんだ疑問を問いかけると、少し考えた後に口を開いた。
「・・・・・・古い時代の遺跡。それ以外は何もない」
「何もないの・・・・・・なら、そんな場所に戻る意味はあるの?」
僕はそう聞いた。
「それは・・・・・・・」
オーフィスはうつむいてしまった。どうやら、簡単に聞いていいことじゃなかったみたいだ。空気が重くなる。
「・・・・・・我にはあそこしか帰る場所がないから」
僕がこの空気をどうしようかと思っていると、オーフィスはゆっくりと口を開いた。
「我を受け入れてくれる場所はそこしかない・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
僕は何か言おうとして口を開いたが、何も言わずに閉じた。
(神すら凌駕する力を持ったが故に、きっと同族からも忌避されたのかな? 誰もが自分と違うものは恐れて迫害する。オーフィスはずっと故郷からも追われて、独りぼっちだったのか・・・・・・)
オーフィスは依然うつむいたままだった。
「じゃあ、僕が受け入れるよ」
うつむいたままのオーフィスを見ていられなかった僕は思わずそう言った。上手くいけば、テロ組織の弱体化につながるかもしれないと思ったことは内緒だ。
「ナギ?」
「僕が君を受け入れてあげる」
そう言いながら手を差し出した。
「・・・・・・本当?」
うつむいていた状態から顔を上げ、差し出された手を見つめながらオーフィスはそう言った。
「うん。僕とオーフィスは・・・・・・えっと、友達。そう友達だ」
一瞬、僕とオーフィスの関係をどう言い表そうか悩んだが、無難に友達ということにすることにした。
「ともだち?」
オーフィスは首をかしげた。意味が分からないのだろうか?
「友達って言うのは、どちらかが困っていたら助けたり、今みたいに一緒に何か食べたり、遊んだりする間柄の人のことだよ。あと、友達が間違っていることをしようとしていたら、止める存在でもあるかな?」
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