第九章 双月の舞踏会
第二話 桃りんご狩り
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けに地面に寝転がりながら焦点が合っていない眼で未だ土煙で煙る空を見上げている。
壊れた人形のように地面に転がる士郎の周りには、四人の少女の姿があった。
身体から煙を上げている士郎を見下ろしながら、四人の少女はぶつくさと文句を口にしていた。
「やっぱりシロウから目を離しちゃ駄目だね」
「はっはっ、はっ……っもうっ! そんなに大きな胸がいいの! っくの、くのっ!」
「こらこら蹴らない蹴らない。でもまさかとは思ったけど、こんな早朝からそんなことするなんて……あたしに言ってくれれば喜んで受け入れるっていうのに」
「全くその通りです。こちらは何時でも歓迎だって言うのに」
「嫌な予感が当たりました。いくら魅力的だとは言え、桃りんご狩りと称してテファのむ、む、胸を揉みしだくとはっ!」
「「「「アリエナイワ〜、ホントアリエナイワ〜」」」」
顔を真っ赤にしたセイバーが鼻息荒く怒りを露わにしている周りで、士郎を囲むルイズたちは腕を組み顔を横に振っていると、背後から土を踏む音が響いた。
「え、あ、な、何が起きたの?」
煙る中でも涼やかなその声の主は、士郎から桃りんご狩りと称して胸を揉みしだかれていた被害者であるティファニアであった。
ルイズたちは被害者たるティファニアにも、この変態にお仕置きをさせようと振り返ると、
「「「は?」」」
「っ!? ちょ、テファッ!?」
「ティファニアッ!? 駄目ですっ!?」
「え? な、何? どうしたの?」
振り返ったルイズとキュルケ、そしてシエスタは、目と口を全力で開いた間抜けな顔を晒し。
ロングビルは首と両手を激しく振って何やら訴え。
セイバーは厳しい声でティファニアを制した。
ルイズたちの反応に驚いたティファニアが足を止め、おどおどと怯え始めた。
ルイズたちは顔を険しくすると、じりっと後ろに下がる。
状況が全く分からないティファニアが、不安に揺れる目をロングビルたちに向けると、そこには必死に頭を指差すセイバーとロングビルの姿が。
ティファニアは最初その行動の意味が分からず小首を傾げたが、警戒するような目で自分を見るルイズたちの姿に、ハッと何かを思い至り頭に手をやる。
「あ……帽子が」
頭に伸ばした手に、あるはずの感覚がない。
あるはずの感覚……帽子の感触が。
どうやらルイズの魔法による爆発で発生した爆風によって、帽子が吹き飛んでしまったようだった。
つまり、
「あなた……まさか」
隠していたものが露わになっているということで……そう、
「―――エルフ」
エルフの証たる……長い耳の姿が。
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