第6話「試験―@」
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ていた後ろのクーも少しずつだが疲れをみせている。
これはもちろんカエデの気のせいで、実際のタケルはバテ気味にある。タケルの無表情を勘違いしていただけだ。
「あ、携帯が通じる。地上が近いです!」
息を切らしながら、ユエが皆を鼓舞するように声を出していた。
「ち……地上が?」
最早、限界気味のアスナとまき絵がへろへろと最後の元気をだす。
「ああっ、みんな見てください! 地上への直通エレベーターですよっ!」
ネギが大声で指し示す通り、確かにそこにはエレベーターが設置されていた。
「こ……これで地上に帰れるの!?」
「乗って乗って〜」
全員が弛緩する空気の中、一人だけが違う様相を見せていたことにカエデはいち早く気付いた。
さっと顔色が悪くなった。血の気が失せ、唇を震わせている。
気分でもわるくなったのだろうか?
ごそごそとポケットをまさぐり、何かを取り出して一瞥をくれたかと思えば、次の瞬間には彼が声を出していた。
「急げ!」
珍しく荒い声をあげたタケルに、バカレンジャーが背をビクリと震わせる。だが、タケルの様子に気付かないネギがのほほんとした調子で答える。
「そんな、後はエレベーターに乗るだけじゃないですか」
それには答えず、まだ乗り込んでいないカエデに。
「……長瀬さん!」
「お……おお? どうしたでござる?」
背を押されてエレベーターに乗り出した瞬間にブーっとブザーがなった。どうやら重量オーバーらしい。
「な」
タケルの表情が絶望のような色を見せたことに、カエデが気付いた。彼女なりに何らかの直感が働く。
「……行くでござる」
エレベーターから身を引いて、上昇ボタンを押す。
「長瀬さん!?」
タケルの狼狽した声が印象的だ。
「拙者は後でタケル殿と行くからいいでござる」
――勉強会には後から。
笑みを浮かべたその様子に、エレベーターの中の人間は勝手に何かを悟ったのか、やれやれと首を振った。
「わかりました、タケルさん。長瀬さんをよろしくお願いします」
エレベーターが閉まり出した。
「……くっ」
タケルはまだ迷っているのか、ネギとカエデに交互に視線を送り、だがついに諦めたのか、
「わかった。そっちも勉強をしっかりな」
「はい!」
元気良く頷くネギの顔を最後に、扉が閉まった。
「……」
ほんの少しだけ静寂が二人を包む。
「長瀬さん、隠れていたほうがいい」
「……なぜでござる?」
「……それは――」
「それは?」
一旦口ごもったタケルを促す意味でカエデが聞きなおす。
そして、タケルは口を開い
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