第6話「試験―@」
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の間呆然としていたが、すぐに目的を思い出したのか、ネギたちの姿を求めて歩き出した。
歩いて10分ほどだろうか、まるで整備されていたかのように綺麗な道を歩いていると、見晴らしのいい高台に辿り着いた。
そこから周囲を見回すこと数十秒。
「……いた」
6人が水に囲まれた砂場で、折り重なるように倒れている。
「……!」
――まさか。
最悪の状況がタケルの脳裏をよぎる。しゃがみこみ、筋力を蓄える。
ゴリゴリゴリゴリ
骨を擦り、肉を磨耗させるような音が響き、ガンツスーツが唸りをあげる。スーツが肉体に呼応して筋繊維の膨張を引き起こす。
ドンと足元の道を陥没させて一気に飛び上がる。
空中に飛び込んだその姿は、次の瞬間には6人が倒れている砂場に到達していた。
そして、ふと気付く。
一人一人の息と顔色を確かめようと屈みこむが、全員がスヤスヤと寝息をたてているようで、無事だと確認できた。
「……人騒がせな」
脱力しつつも、ホッと息をつく。誰もいない事もあってか、表情を緩めたタケルだったが視線を感じて顔を落とす。
「いい顔でござるな」
いつものように薄目で捉え処のない笑顔。カエデが目を覚ましていた。
「大きな音を立てたつもりはなかったが……起こしたか?」
「あれほど大きい音を立てて目を覚まさないほうが、忍びの拙者としてはありえないでござる
よ」
そう言って、50m以上は離れた高台―高低差を含めればさらに距離があるだろう―を指して言う。
「……そうか」
確かにあそこでは少々大きな音を立てていたかもしれない。だが――
――どんだけ凄い聴力だ。
突っ込みを入れたかったが、早く帰りたいのでそれは我慢。
「早速こいつらを連れ出したいんだが、手伝ってくれるか?」
「にんにん」
訳の分からない返事だが、肯定と受け取ったタケルが「助かる」と礼を言う。
腕と肩に上手く乗せて計3人を抱えあげる。
「あと二人、いけるか?」
「「問題ないでござる」」
「……?」
――今、二方向から声が聞こえなかったか?
「……長瀬さん?」
「「なんでござるか?」」
やはり、聞こえる。おそるおそる振り返ると、そこには見事に同じ人間が二人いた。それぞれが一人一人を抱えている。
「げ」
タケルが顔を引きつらせたことに意外だったのか、カエデは少しだけ考える素振りを見せて尋ねた。
「もしかして、分身を見るのは初めてでござるか?」
「……い、いや」
初めてではない。だが、それはミッション中の星人との対決で見ただけだ。人間が出来るとは思っていなかった。
――これも気っ
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