第七章
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「ああ、そうするよ、我後輩、飯島よ。びくびくしながら生きろ。小包だって何が入っているか分からん。最近はやりの小包爆弾ってこともある。兎に角、用心することだ。」
飯島は、足を引きずる佐久間の後姿を見つめた。そして心の中で罵声を浴びせた。「狂人野郎。貴様などにやられてたまるか。」と。
佐久間が部屋を出ると同時に、斎藤が恐る恐る顔を覗かせた。飯島は、斎藤の相手をするほど心の余裕はなかった。
「斎藤さん、そのことは、いずれ相談にのるよ。でも、今日のところは勘弁してくれ。」
斎藤の情けなそうな顔が、ゆっくりとドアの後ろに隠れた。
飯島は、佐久間が和子襲撃に関わっていたことがショックだった。もしかしたらと思って、かまを掛けたてみたのだが、佐久間はあっさりとそれを認めた。一体何がどうなっているのか。
最初に二人で飲んだ時、佐久間は昔と変わらぬ友誼を示してくれた。最後には手を握らんばかりに、愛子ちゃんのことを「後を頼んだよ。」と言っていたではないか。それが、どう転んであんな態度に変わってしまったのか。
飯島が何かを企んでいたと言っていたが、察するところ、章子が佐久間に高額な保険でも掛けたとか、その類の話であろう。それを飯島の企みと勘違いした可能性はある。女房が旦那の死期を悟れば、保険の掛け金を増やすことぐらい十分考えられるからだ。
いずれにせよ、和子を襲ったと認めたのだから、放置するのは危険すぎる。警察に通報するしかないのかもしれない。飯島は受話器を取り、病院で会った刑事に電話を入れた。
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