第5話「日常」
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らく何がおこっているのか分かっていないだろう。
「これぐらいか?」
タケルの声が小さく響いたと思ったらふたたび先程の破裂音が響いた。
また、消えた。
「……!」
途端に蒼くなる彼女の顔色。今度は見えたのだ。
バンという音が耳に届くと同時、ボールが破裂。しかもほとんど粉々に消え去った。
ボールが弾かれたものとして見るから見失う。そうではなく、タケルの振るった腕がボールを破裂させていると思えばいいのだ。ジッと手だけを追っていればそれが見える。
2つ目の練習の後、何か掴んだのか「わかった」と短く呟いたタケルがまた、ボールをあげた。三度振るわれた腕がボールを捉え、今度は破裂させずに見事に打ち出した。
「よし」
小さく満足気な声が全員の耳に届いた。
打たれたボールはリーダーの足元に落ち、バンという音と共に炸裂。地面を穿ち、粉微塵と化した。
誰もが状況を認識するのに数秒を要した。
打たれたボールが消え、大きな音と共に地面を穿った。
つまり、ソレがさすところは――
「……こんなところか」
冷静に呟いたタケルが最後の一球を拾い、言う。
「さあ、やるか」
「……」
真っ青な顔をした彼女達がフルフルと首を振る。
――あんな球を受けたら死ぬ。
その時、誰もが考えただろう。
「失礼しましたーー!」
脱兎の如く逃げ出した女子高生達。
「……よし」
タケルが呟き、残ったネギと生徒達と向き直る。と、そこで少し異様な雰囲気が出来上がりつつあることに気付いた。
「先生?」
何故か、生徒達の視線が熱い。
「……な、なんだ」
ジリリとにじり寄る生徒達に本能的に少し身を退く。だが、それは無駄だった。
「先生、かっっこよかったやん〜〜!!」
「素敵でしたわ!!」
「さっきの笑顔もう一回見せてください!!」
「ちょ、ま――」
ぐいぐいと顔を弄られたり抱きしめられたりして、顔を真っ赤にするタケル。「ね、ネギ」と救いを求めた唯一の人物もなぜか、タケルにくっついていて「格好良かったです!」と涙を流している。
「……キミたちにも言いたいことが」
頑張って先生としての勤めを果たそうとしてみるが、どうやらそれは聞こえていないらしい。
全員が美少女と言っても過言ではない生徒達に、しかも6人に抱きしめられているという、羨ましすぎる彼は、だが呼吸が出来なくて、柔らかい幸せな感触を堪能することができずにいた。
ガンツスーツを着ているのだから簡単に引き剥がせるんじゃないだろうか、と考えた君たち、それは甘い。バニラアイス3口分よりも甘いぞぉ!? なぜなら、女性徒6人に抱きつかれ
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