第5話「日常」
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にいた2−Aの女性徒、端から順に和泉 亜子、佐々木 まき絵、大河内 アキラ、雪平 まどか、神楽坂 明日菜、明石 裕奈。
この6名がその笑顔に魅入られた。
まるで悪戯をしたかのような、そんな子供っぽさを残しつつ、それでも普段の凛とした雰囲気を醸す笑顔は、彼女達にとってネギでは見ることの出来ない類のそれでもあった。
ネギはたまに、子供らしからぬ大人びた顔を見せる。それがまたいいのだ。だが、今回はその逆。普段は鉄仮面のごとく無表情でいる彼が見せた子供のような笑顔。
ネギにせよタケルにせよ、いわゆるギャップ効果というやつだ。
だからこそ、見ほれてしまう。
「誰か、ボールを数球とってきてもらってもいいか?」
「……」
その言葉に、誰も反応しない。困ったように「誰か?」とタケルがもう一度声をかけたところで、やはり誰も反応しないことにネギが気を利かせた。
「あ、じゃあ僕が!」
と体育館の倉庫に取りに行った。
ちなみに、このとき、2−Aの生徒達は無視していたのではなかった。完全に固まっていたのだ。見慣れないものをみたせいで、魅入られたのか。
それは彼女達にしか分からない。
「ふふ、生徒達にまで見離されて、ほんとに滑稽ね」
完全に馬鹿にされているのだが、それを聞いていないのか、それとも無視しているのか、タケルは無表情でネギを待つ。
1分もせずにネギがボールを新たに3球ほど持ってきた。
「スマン」
小声でネギに礼をいい、ボールを自分の足元に置く。一球だけを片手に持ち、数秒だけ目を閉じた。それは瞑想しているようにも見える。事実、その場にいた全員がそう思っていた。だが、タケルの内心は全くの別事に。
――どれ位の力で打てばいいんだ?
タケルが本気で考えている間に、ネギに頬をはたかれた女性徒たちが我を取り戻していた。
「……先生」
不安そうな声をあげている。
「どうせ、ヘロヘロな球しか打てないんでしょ?」
クスクスと笑い声が聞こえる。誰もが、固唾を呑んで見守る中、遂にタケルは動いた。
ボールを軽くあげて、ジャンプをせずに打ち込む。元々タケルの運動神経など普通程度。経験もないバレーでそんな危険を冒すわけにもいかなかった。
腕が振るわれた。
バンという音が響き、誰もがボールの行方を失った。
「……強すぎた」
ただ一人、悔しそうに呟くタケルを除いては。
リーダーが先程のボールのことを聞こうと一歩出たところで、何かが頭にぺたりと張り付いた。
「?」
それを手に取り、見つめること数秒。それが何であるかに気付いた彼女は絶句した。周囲の仲間たちは未だにボールを見失っている。おそ
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