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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第6話 「貴様らに名乗る名前はない!」
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、上流から丸太も流して沈没させる手もとっていたし、黄忠さんが夷陵の現太守に急使を出して、夷陵の水軍に白帝城の防衛も頼んである」
「……………………」
「つまり、どう転んでもお前達は逃げられなかった。むしろ、抵抗せずに捕まったので、策のほとんどが無駄になった。まあ、後始末を考えれば、遥かに楽にはなったけどね」
「ク、ククククク……まさかな。まさか俺の計略を全て見透かされた上に、ここまで用意周到にされるとはな……龍神、いや龍の軍師……噂以上だったか」
「また変な噂を……」

 龍神の次は龍の軍師かよ……まあ劉備の軍師だったから劉の軍師、龍の軍師って流れはわかるけどさあ。

「ククク……相手が厳顔だけと思い込んでいた俺の負けか。こんな俺だからこそ……厳顔が見捨てたのもわかる。甘え……確かにそうかもしれん」
「……沈弥、わしがお前を放逐した理由。それはお前に頭を冷やして欲しかったからじゃ。お前は……知略はあったが、それを覆い隠すほどの野心が強かった。それが焔耶に影響を与えるのが怖かった……」
「……やっぱり、厳顔。あんたのところを出奔するのは時間の問題だったよ……魏延を第一に考えるあんたじゃ、な」
「………………!!」

 沈弥の言葉に、蒼白になる厳顔さん。
 ……ちょっと、離した方がいいかもしれない。

 俺は、黄忠さんに目配せをすると、黄忠さんが兵士に命じて沈弥を他の錦帆賊の捕らえられているところへと連れて行った。
 その間、厳顔さんは身じろぎ一つせずに俯いている。

「桔――」
「……沈弥はわしの部下じゃった」

 黄忠さんの声掛けを遮り、ふいに厳顔さんが呟く。

「沈弥は幼い頃、両親が死んでの。わしの故郷の近所にいた孤児じゃ。能力もあり、仕事も出来た。わしは頭が悪い。だから文官のまとめ役としてあやつを取り立てた。一緒に酒も飲んだ。だが……焔耶をわしの弟子としたあたりから、あやつの言動や行動に不審なものが多くなった」

 焔耶……さっき言っていた魏延って人か?
 そういや暴力クソ女とか言われていたな……

「あるとき、焔耶が沈弥に襲われた。わしは仔細を聞いて、逆に返り討ちになった沈弥に問うた。『何故に焔耶を襲ったのか』と。奴はこう言った。『奴は厳顔様を真名で呼んだからだ』と……」

 ………………

「わしは焔耶に真名を許しておった。それは周囲も知っていた。だからそんな理由で武人を襲う沈弥が許せなかった。棒打ちの刑に処して放逐した……」

 ……そういやあいつ。
 厳顔さんを真名で呼んでいなかったな。
 預けられていなかったのか……

「わしはあやつの野心が焔耶に影響を及ぼすかもしれない、そう思うと怖かった。焔耶はわしに似て馬鹿じゃ。だからこそ変なことに囚われず、まっすぐに生きて欲し
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