助けを求めた者
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「あなたは、もしかしてあの子の祈りを聞いてこの世界に来たの?」
「祈り? …あっ!」
自分に助けを求めてきたあの声だと気づき、融はウィンダに聞く。
「あの声の持ち主はどこにいるんだ!」
「きっと、今は私たちの里にいるはずだから、ついて来て」
ウィンダの言葉通りに融はついていくことにした。
「ここが私たちの里だよ」
ウィンダが案内した場所は木造と石だけで作られた村だった。融は辺りを見渡しながらウィンダの後ろをついて行く。そして着いた場所は、集会所というべき広い建物だった。
「ここは?」
「ここでみんな集まっているはずだから、一緒に来て」
融の疑問に答えずウィンダは手を引いき招く。
中に少数の人達が話をしていたらしく、ウィンダとにた服を着ていた。
「未だにラヴァル達がジェムナイト達と戦争をしている…」
「ジェムナイトには恩がある。我々ガスタは助けるべきか?」
「…いや、彼らは拒否をするだろう」
「しかし、いつまでもラヴァルの猛攻を見ているわけには…」
その中で二人の男達を中心に話し合っていた。どうやら重大な内容らしい。
「お父さん! 異世界から人がやってきたよ!」
「ウィンダ! 今は大切な話をしているんだ。勝手に入って……なに?」
お父さんと呼ばれた、フード付きのマントを着た男は驚いたように顔を上げる。
「…カームの祈りが届いたのか」
神官のような服装を着た男はチラリと融を見て呟く。
「カーム? その人が俺を呼んでいたのか!」
「ウィンダ、彼の名前は?」
「彼の名前は……えーと…」
気まずそうにチラリとこちらを見る。そういえば言っていなかった事に気が付いた。
「遊騎融。それが俺の名前だ」
「--ユウキ…トオル。あなたが私の声を聴いてくれたの?」
「え?」
後ろを振り向くとそこには1人の少女がいた。ウィンダと同じ歳だろうが少し大人っぽく見える。何より聞いたことがある声いや、自分はこの声を求めてここまでやってきたのだ。
「君が……」
「私はカーム。そしてあなたに助けを求めた」
「俺は君に何をしたらいいんだ?」
融の質問にカームは首を横に振った。
「私達じゃない…」
「え?」
予想外の答えに融は驚く。カームは続けて言う。
「今理不尽な状況で戦い続けて傷ついている彼らを私たちの代わりに助けて。私達じゃ、勝てない」
「彼らって一体誰なんだ?」
その時強烈な衝撃が襲い掛かった。
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