第一章 土くれのフーケ
第十話 土くれのフーケ
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イズ……何か怖いぞ」
ルイズの底知れない恐ろしさを感じ、恐怖しながらも、士郎はキュルケに伝えた。
「ま、まあそう言うことで、すまなかったキュルケ」
「シロウの言うことはわかったけど……でも、やっぱり納得出来ないわね」
そう言って、キュルケは、士郎に詰め寄っているルイズを睨みつけた。
「な〜にいっちょまえにシロウにヤキモチ焼いてんのよアンタは。あんたなんてシロウがいないと何も出来ない癖に」
「なっ、何も出来ないって何よっ!」
キュルケの言葉に激高したルイズは、髪を振り乱しながらキュルケに詰め寄った。
そんなルイズを見て、キュルケは鼻で笑って言い放つ。
「だって、本当のことでしょ? 魔法一つまともに使えない癖に」
「うっ、そ、それは……でもっ! いつまでも昔の私じゃないんだからっ!」
キュルケに痛いところをつかれたルイズは、しかし、胸を張って言い返した。
そんな風に言い争う二人を見て、士郎は二人の争いを我関せずとでも言うように、じっと本を読み続けているタバサに声をかけた。
「タバサ」
「―――なに?」
声をかけられたタバサは、本から目を離すと士郎を見上げた。
「あれ、何とかならんか?」
「ムリ」
士郎の頼みを、タバサは一言で切り捨てた。
タバサの言葉を聞いた士郎は、ため息を吐くと、言い争いを激化させている二人に目を向ける。
「へぇ、言ってくれるわね。ヴァリエール……」
「そっちこそ本当に理解してる? 何言ったのかわかっているのツェルプストー……」
士郎が二人に視線を戻すと、互いに何か致命的な言葉を言い合ったのか、いつの間にか二人の間には一触即発の空気が流れていた。
まるで、決闘をするガンマンの様に睨み合った二人を見て、どこか懐かしい光景だなと、士郎は場違いに思い出に浸っていた。しかし、流石に洒落にならない状況にまで事態が進行しかけていたことから、士郎が止めに入いろうと二人の間に入ろうとした瞬間―――二人は示しあわせたかのように、同時に自分の杖に手をかけた。
直ぐに士郎がそれに気付き、二人から杖を取り上げようとしたが。
しかし、士郎が二人から杖を取り上げるより早く、それまでじっと本を読んでいたタバサが自分の杖をふった。
つむじ風が舞い上がり、キュルケとルイズの手から、杖が吹き飛ばされた。
「……室内」
タバサは淡々と言った。
ここでやったら危険であると言いたいのだろうか?
しかし、士郎は、どちらかと言うと、読書の邪魔になるからだと思った。
「そう言えば、さっきからミス・タバサがいるけど、なんで彼女がここにいるのよ?」
ルイズが邪魔をしたタバサを憎々しげに見た後、疑問の声を上げ
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