第四十七話 アメリカ軍人その七
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「共同意識が強いな」
「一緒にいることが多いからですか」
「そう。だから三つの自衛隊はそれぞれ仲がいいんだよ」
「そうした事情があってですか」
「それぞれ喧嘩をしても意味がない」
このことは戦前の陸軍と海軍はお世辞にも、だった。
「しかしそれでもだ」
「それぞれ違うんですか」
「うちは時間に五月蝿くでそれこそ秒単位での仕事なんだ」
陸自はそうだとその一佐が言う。
「そして体力練成はとにかく走る」
「ランニングですか」
「草木に埋もれて匍匐前進ばかりする」
「本当に陸軍ですね」
「そうだ。しかも飯はまずい」78
一佐はこのことを特に強調した。
「これは空自さんにも海自さんにも負けない」
「負けないんですか」
「陸自に来て美味いものを期待してはいけないんだ」
「そんなにまずいんですか?」
「作っているのは素人だからな」
だからだというのだ。
「その味は全く駄目なのだ」
「ううん、陸自さんには入りたくないですね」
「警察の食事はどうだね」
「私は警察の食堂には行かないですから」
「そうなのか」
「外で食います」
そうしているというのだ。
「それか自分で作ります」
「そういえば警察には警察学校はあるが」
「はい、自衛隊みたいに隊舎はないですから」
それでだというのだ。
「自衛隊で言う営外居住ですからね」
「寮はあるな」
「ありますけれど寮も好きではないんです」
「それでか」
「はい、いつも外で食べているか」
自分で作っているというのだ。
「そうしています」
「成程な」
「ですから結構料理には自信があります」
「それは羨ましいな」
「羨ましいんですか」
「何度も言うがうちは飯がまずいんだよ」
一佐はまた陸自の話をした。
「専門家が作らないからね」
「毎食キャンプファイアーですか」
「そんな感じだよ。飯盒も使うから」
「あれって結構」
「失敗したら痛いな」
「相当まずくなりますよね」
焦げては食べられたものではなくなる、飯盒も難しいのだ。
「それで兵隊さん達って本来は他のお仕事があって」
「それを休ませて当番で作ってもらっているんだよ」
「確かに味は期待できませんね」
「センスのある子が入っていればいいけれど」
そうとも限らない、当たり外れもあるというのだ。
「ない子ばかりだとね」
「どんなのになるか想像がつかないですね」
「だからうちの飯はまずいんだよ」
「料理作る専門家は」
「ああ、給養だね」
「そうした職種の人はいないんですか」
「前はいたがね」
一佐は少し遠い目になって答えた。
「自分達が料理を作っている、食事をしてやっているから偉いって勘違いする人間が多くなってね」
「なくなったんですか」
「そうなっ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ