第三十三話 合宿の終わりその七
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「今四位だし」
「はい、もうこれ位にしましょう」
先生もネガティブになる一方なので話を止めた。
「次は広島城よ」
「あの城ですね」
「広島城ですね」
「そう、あの城よ」
まさにその城をだというのだ。
「観に行くわよ」
「城の中には入るんですか?」
景子は先生にこのことを問うた。
「そうするんですか?」
「ええ、するわよ」
先生は景子の問いに笑顔で答えた、
「ただね」
「あっ、天守閣の中だけですね」
彩夏は先生の話を聞いてすぐにこう察した。
「そうですね」
「そうよ、後で車工場も行くから」
「だからですね」
「車工場がメインなのよ。広島の重要な産業をね」
「八条自動車ですよね」
男子生徒の一人が楽しそうに尋ねて来た。
「そうですよね」
「そうよ、八条グループのね」
「あそこですね」
「同じ八条グループだから見学にも快く引き受けてくれるのよ」
同グループのよしみである、八条学園から八条グループへの就職はかなりの割合に達していて後輩を迎えるという意味もあるのだ。
「だからね」
「私もかしら」
宇野先輩は車窓から馴染みの街を観ながらふと呟いた。
「八条自動車に就職かしら」
「その可能性高いでしょ」
横にいる高見先輩も宇野先輩に言う。
「宇野ちゃんあれでしょ、大学卒業したら地元に帰るのよね」
「ええ、広島にね」
「だったらやっぱりね」
「広島にも八条グループの企業多いけれどね」
「八条自動車の広島工場が一番大きいわよね」
「そうなのよね」
こう話すのだった。
「あの工場がね」
「確か本社は神戸よね」
八条グループの本拠地に本社があるというのだ、尚八条グループの関連会社はその神戸の他に大阪や奈良に本社があることが多い。
「そうよね」
「そうよ、あそこにあるわよ」
「けれど広島にも工場があって」
宇野先輩は考える顔で述べていく。
「そこに就職かしら」
「そうしてもいいんじゃないの?」
「そうね、ただ」
「ただ?」
「まだ先のことだから」
首を捻っての言葉だ。
「はっきりとは言えないわね」
「神戸に残るかも知れないわよね」
「そうなのよね、何だかんだで神戸も気に入ってるから」
だからだというのだ。
「その辺りはね」
「けれど広島も好きよね」
「地元だからね」
だからお好み焼きもカープも好きなのだ。宇野先輩は心からの広島県民なのだ。
「正直その辺り迷うわね」
「私は岡山だけれどお母さんが大阪だから」
「その辺りはなのね」
「どうかしらね、岡山好きだけれど大阪も好きだから」
それでだというのだ。
「どっちでもいいわね、神戸も好きだから」
高見先輩の場合はこうだった。
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