暁 〜小説投稿サイト〜
レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission9 アリアドネ
(8) マクスバード/エレン港 D~シャウルーザ越溝橋 @
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(今ならあれもこれもそれも、全部納得がいく。この子にとっては全部「大好きなとーさまのため」だったんだ。未来の俺、娘をファザコンに育てすぎだ)

 内容はほぼ同じだが、ユリウスも列車テロからの行動を語った。疲れと痛みが押してヤケになっていた。
 やがて。

 ぶっはああああ〜〜〜〜。

 全てを聞き終えたアルヴィンは片手で顔を覆って、大きな大きな溜息を吐いた。かと思いきや、アルヴィンは猛然と立ち上がって。

「おたくら似た者同士過ぎ! 父娘して裏で暗躍しまくりやがって。おたくらは傭兵時代の俺か!? 思考パターンが理解できすぎて、哀しい通り越して情けねえわ!」

「ア、アルフレド?」
「アルこわい」

 ユティはちゃっかりユリウスの背中に隠れている。

「まずユティ。最初から懐さらせとは言わねえ。初めて会った頃に言われたって信じたのはジュードくらいだろうからな。でも会ってから何ヶ月も経って、そこそこの協力関係ではあったろ俺ら。手伝ってください事情は聞かないでほしいの、でも通用したんだぞ。知られて困るなら言わなくていい。言わなくていいから何かさせてほしかった。あいつら絶対思ってるぞ」
「そう、かしら。そう、なのかしら」
「仲間が苦しんでる時にそばにいられなかったなんて、とか、エリーゼとかレイア辺りは気に病むぞ。――次、ユリウス」

 目が据わっている。これはユティでなくても怖い。

「あんたは分かるよ。指名手配中だし? 人生経験考えると人に頼るの苦手そうだし。むしろバリバリ自分とルドガー以外信用できねーって思ってんだろうから、こっちと仲良しこよしは無理があるのは俺でも分かるよ。だから個人的に一言だけ言わせてくれ」

 アルヴィンはストレートにユリウスと目を合わせた。

「あんたが死んだら俺とバランが傷つく」
「! お前……」
「あんたはルドガーの兄貴だし、バランの友達って少ねえし。……一応、俺とも幼なじみだし」

 幼い頃はバランも加えていつも3人でいた。けれど3人は幼くしてバラバラになった。アルヴィンは遭難して行方不明、元から貴族でなかったバランも遠ざかった。幼なじみという肩書にそぐわないほど、彼らの共有した時間は短い。それなのに彼は体を張ってユリウスを助けた。

 ユリウスの疑問を察したのか、アルヴィンは、とん、とユリウスの胸を叩いた。

「まあ何だ。うだうだ言ったけど、結局人間、ココで動いて、ココに動かされてんだよ。ユティがあんたを心配してずっとそばにいたのと同じ」

 ――例えばユティが未来を変えたとして、「現在」に居るユリウスには変化など分からない。今日までの様々な出来事は例えユティがおらずとも成るように成った結果だとしか思えない。ユースティア・レイシィが居たからこそ「成った」モノを
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