3 勇者よ逃げ出すとはなさけないbyシラ
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シラの短剣が剣の腹を打ち、突き出されたスキルの進路を微妙にずらす。
平行し身を屈めたシラの皮膚を擦るように剣が通り過ぎ、最小限の被害のみに留められる。
ピンチから一転。攻撃のチャンスだ。
「ふっ!お返しです!」
シラのスキルが発動。短剣スキル「フェル・ホライゾン」
手数で攻める短剣には珍しい一撃強打系スキルだ。一瞬の硬直を狙うにはこれ以上ない程ベストな選択。
しかし所詮は短剣。鎧や盾を貫く威力は持たない。だからこそ。
古来より伝わる暗殺術に学ぼう。狙うは鎧と兜の隙間、首だ。
エレメンタルナイトの瞳に焦りが走る。シラがニコリと笑う。
吸い込まれるように小さな隙間に刃が食い込み、派手なクリティカルエフェクトが薄暗い迷宮を照らす。
エレメンタルナイトのHPが一気に削れる。緑の安全域から黄色、そして赤。バーがもう無くなろうかという時、減少がピタリと止まった。
硬直の解けたエレメンタルナイトが最後の一撃とばかりにスキルを発動させる。四連撃スキル「バーチカル・スクエア」
俊敏値重視の軽装の中でも最も防御力のないローブ系を装備するシラのHPを消し飛ばしかねない威力を秘めた上位スキルだ。
勝利を確信したエレメンタルナイトの瞳に狂喜が宿る。瞬間、間に旋風が駆け抜けた。エレメンタルナイトの僅かなHPが削られ幾千万のポリゴンの欠片となり爆散する。
「助けられてしまいましたね」
ポリゴンの雨を浴びながらシラは苦笑する。その表情からは真意はどうも読み取れそうにはない。
「しっかりしてよね」
「申し訳ない」
白銀に輝く愛剣を納め、アスナがジト目でシラを見る。彼女の中でシラの株が下がったことは明らかだった。
「それはいいからこっちを手伝ってくれよ!」
離れた場所でキリト声をあげた。モンスター三体を相手に切り結んでいる。本来なら有利な場所へ移動したりするのだろうが如何せん今彼らはパーティーだ。
二人が遊んでいる今、必然的にキリトが防波堤とならざるを得ない。彼が重装備なタンクであったならもう少し持つかも知れないが彼はダメージディーラーとしてのステ振り、装備だ。
「ごめん、キリト君今行くから!」
キリトの要請を受けてアスナが顔を青くして飛び込んでいく。
それから決着が付くのに時間はかからないだろう。シラは判断する。
先のエレメンタルナイトの攻撃でHPが2%ほど減っている。SAO以外でなら気にすることもないダメージだがここでは命そのもの。大事をとるに越したことはない。
アイテム欄を操作して最も安いポーションを取り出す。口当たりの甘いそれをチビチビと口にしながらシラは自分の装備フィギュアを開く。
そこにはアスナに手渡された新しい武器の名があった。
断罪の嘘吐き(ジャッジメント・ライ
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