第五十一話 エル・ファシル
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ら民主共和政を残すためとはいえ、よりによってこの私が公爵? 嫌がらせかね?」
エル・ファシル公爵? 何だそれは? レベロ議長が公爵? それが民主共和政を残す事に繋がる? 頭領が俺を見てクスッと笑った。
「エル・ファシルでは民主共和政の政体をとることが許されるのです。選挙で選ばれる公爵、珍しいでしょう、ファーレンハイト提督。まだ外部に話すのは控えて下さいよ、同盟市民を混乱させたくないですから」
「はあ」
思わず間抜けな声が出た。選挙で選ばれる公爵? 何だそれは? 珍しいと言うより前代未聞だな。帝国でそんな公爵が居たなど聞いたことが無い。俺が呆然とするのが可笑しかったのだろう、頭領がまたクスッと笑った。
「レベロ議長、そのように嫌がらせなどと取ることは無いでしょう。悪い話ではないと思いますよ。これまでは反乱軍の首魁でしかなかったのにエル・ファシル公爵として、帝国第一位の貴族として認められるんです。エル・ファシル星系を領し無任所とはいえ国務尚書として帝国の統治にも関わることになった。大出世ですよ、帝国屈指の実力者と言って良い。もっと素直に喜んでは如何です?」
レベロ議長が溜息を吐いた。俺もだ、帝国第一位の貴族?国務尚書? 何だそれは……。
「おまけに同盟政府の持っていた借金は全部帝国に肩代わりさせることが出来ました。財源をどうするか等と悩む必要も無い、してやったりじゃないですか。今度ローエングラム公に会ったら肩でも叩いてあげるんですね。後は任せた、君、宜しく頼むよとでも言って」
レベロ議長がまた溜息を吐いた。気持ちは分かる、滅茶苦茶だ。
「ローエングラム公が君を宇宙一の根性悪にしてロクデナシと言っていたが全く同感だ。君こそ宇宙一の根性悪にしてロクデナシだよ」
「そのように褒めないでください、照れるじゃないですか」
頭領がにこやかに答えた。思わず俺もレベロ議長も頭領をまじまじと見た。確かに宇宙一の根性悪にしてロクデナシだと言われても仕方ない。レベロ議長が呆れたような表情をした。
「褒めていると思うのかね」
「物事は良い方に取らないと。それになんでも一番というのは立派な物ですよ、例え根性悪でもロクデナシでも。公爵ならなおさらです、そうでしょう?」
レベロ議長がまた溜息を吐いた。
「恨み言の一つも言ってやろうと思っていたのだが馬鹿らしくなったな」
頭領が肩を竦めた。
「それで私を呼んだ理由は? もちろん恨み言を言いたかっただけというのでも構いませんが」
レベロ議長が不機嫌そうに顔を顰めた。
「違う、いやそうであれば良かったのだけどね。確認したい事が有ったのだ。今後も君達とエル・ファシル星系の関係は続く、そう見て良いのかな?」
なるほど、そういう事か。黒姫一家はヴァンフリートから産出した鉱物資源をエル
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