初めての都市
子供先生シキ
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
色は、信じられないと言った様子だったが、中には目の奥をギラつかせる者もいた。それを見て、シキは向上心を持つものもいると知って安心した。
「……あとはバンクルトさんから話あるだろうから、俺はこれで」
一応、挨拶をしてシキは歩き出していく。
時折、化け物などと言った言葉も聞こえるが、無視して進む。今回は若手の相手だったが、明日からはベテランの武芸者も交えた訓練を行うらしい。
頼むから、敵意は少しだけ抑えてくれと願うシキだったが、嫉妬する気持ちもわからなくもないので諦め半分、期待半分で願う。
シャワーも浴びたかったが、バスに戻ってから浴びればいいだろうとシキは判断した。
これで嫌がらせなど受けたら堪らない。……しないと思いたいが、一度グレンダンの大会で保管していた荷物が盗まれたことがあるので心配なのだ(ちなみにデルボネに補足されていたらしく、後を追ってボコボコにした)
受付にも挨拶をするが、ぎこちない笑顔が返ってくるだけだった。
そんな微妙な雰囲気の中、シキは交叉騎士団の訓練場から出た。新鮮な外の空気をいっぱいに吸って、嫌な気持ちを吐き出す。
「あー、承諾するの早まったかもしれん」
そう言いながら、歩こうとしたところ、シキを呼び止める声が聞こえた。
「やっと出てきたね、シキ」
「メイガスさん、本当に待ってたのか?」
そこにはメイガスが立っていた。シキはてっきりもう帰っているのかと思っていたので、メイガスのことは綺麗さっぱり忘れようと思っていた。
なのに、当の本人が律儀に待っていたとなれば話は別だ。シキは速やかに記憶の復元作業に移る。
「あぁ、君に少し相談事があってね」
「訓練はやめてくれよ?」
シキは即座に釘を刺しておく。ただでさえ、敵意が鬱陶しいのにさらに増えたら胃が爆散するかもしれないかだ。
だが、メイガスは首を振って、シキにこう質問してきた。
「君は今日、どこに泊まるんだい?」
「えっ? 放浪バスですけど?」
シキは当たり前じゃん、と言った風に胸を張るが、メイガスはずっこけそうになるのを堪えていた。
「ど、どこかに泊まるとかは」
「考えてませんよ。せっかく無料で泊まれるんですからね」
メイガスはシキの金銭感覚を嘆いていた。孤児とはこういうものかと思っているが、シキの金銭感覚は姉のリーリンによるところが大きい。リーリンは浪費を一切しないが、シキは子供達にねだられるとすぐに財布の口がゆるくなるので幾分かマシであるが、自分のことになると金を出さないことが多い。
無料は素晴らしいものであるし、安いのはもっといいというのがシキの考えだ。
なので、ヨルテムにいる間もなるべく浪費を避けようと思っていた。
「え、えっと、じゃあ騎士団からのお金は?」
「最低限の生活費以外は、グレンダンの孤
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ