初めての都市
子供先生シキ
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たからなぁ」
別に、今のシキなら外に出れば広大な大地に遠慮もなく剄技を放てるのだが、さすがにそうするとシキの特異体質がバレてしまう。
だが、バンクルトの提案を受ければ、とりあえず当面の資金に困ることはないだろう。出来るだけ、自分の金は持っておいて損はないだろう。いつ、エルミたちと分からない今、金は大事だ。
子供というハンデもあるが、そこらへんはバンクルトが擁護してくれるはずだ。仮にも最高戦力である彼の意見を無下にできる者はいない……と信じたい。
「そうじゃったら暇な時間、空いてる訓練場を使ってくれて構わん」
「じゃあ、具体的な訓練内容や契約書とか予算とかその他もろもろ話し合うか」
そう言うシキの目は、一流の商人の目つきへと変貌する。
バンクルトは何故か嫌な予感がしたのだが、この時はあまり心配をしていなかった……が、契約書の内容を事細かに決めていくシキに対応できずに涙目になるのであった。
結局、バンクルトではなく予算関係の団員を交えた交渉を一時間ほど行い。事務をしていた団員を涙目にさせながら、シキはとりあえず五ヶ月という期限、常識範囲の報酬、対人と対汚染獣用の訓練などを決めて契約をした。
余談だが、交叉騎士団の一部団員が、経営の勉強に精を出し始めた。その結果、予算関係が改善され、資金が増えたのであった。
「今日は終了……って、誰も立ってないや」
死屍累々とはこのことだろう。
シキの周りには年齢も性別もバラバラだったが、ヨルテムでは上位に食い込む武芸者たちが倒れていた。全員、息を正すのに必死で誰一人立ち上がってこない。
シキの下した評価は、まずまずと言ったところだった。
全体としてのレベルは低くないが、グレンダンの武芸者と比べるとやや劣るといった具合だ。汚染獣戦であれば被害者を出しつつも勝利することができるだろう。
バンクルトによると、ここ四十年ほど汚染獣とは戦っていないらしい。それを聞いて、多い時は数ヶ月の期間で汚染獣と戦うグレンダンの異常性が際立つ。
だが、普通の都市ではこれが普通なのだろうとシキは思う。
女王に、十二人の天剣授受者。明らかに戦力過多であるし、女王に関しては老生体も裸足で逃げ出すほど強いらしい。
……まぁ、その女王が知り合いだと思うと何故かギャグにしか感じない。帰ったら問い詰めようとシキは決意する。
だいぶ思考にふけっていたのだろう。段々と、倒れていた武芸者たちが立ち上がり始める。身体にダメージを残さないように手加減したつもりだったが、少々強すぎたようだ。それに、油断して危ない場面もあった。
それらを反省しつつ、シキは活剄で疲労を抜いていく。
昔ならばもう少し消耗していたが、剄の扱いが上手くなったシキの消耗度はそこまでのものではなかった。
武芸者たちの顔
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