幕間+コーデリア:手品ともいう
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の絶妙なバランス感覚によって振り子のように揺れるままなのだ。丁度雲間の切れ目から日差しが差したためか、剣先がきらりと魅力的に煌めいた。
「もうへふ!ふふぉいへひょ!?」
「凄いです、ケイタクさん!大道芸人みたいです!」
剣に集中しているため見れないが、宙にぱちぱちと響いている音は紛れもない拍手の音であり、コーデリアの喜びの声がまた心地良かった。世にも珍しい一芸を披露した慧卓は、ひょいと顔を横に向けて鞘を落として手元でそれをキャッチし、剣を鞘に収めると、御伽噺に出る凛々しい騎士のように一礼をした。頭の中ではうまく芸を披露した自分に対する拍手喝采が鳴り響いている。
拍手を心のままに送った後、コーデリアは朗らかな表情で問う。
「どこでそういうのを、覚えたんですか?」
「小さい頃、親父が宴会芸の一つとして披露してくれたんですよ。んで、俺はちっこい箒とか塵取りで真似をして、何時の間にか出来るようになったってわけなんです。王女様もやってみます?何か軽いものとかで」
「ええ?でも、そんなはしたない真似を誰かに見られたら、なんて言われるか」
「あ、そっか。王女様が剣を咥えるって、そりゃ、ね・・・」
「もう、言わせる気ですか?」「いやいや、そんな・・・ハハハ」
うっかり口から出てしまった馬鹿な下ネタも、コーデリア王女は笑って許してくれた。いや、その無垢な蕾のような笑みを見る限り、もしかしなくても彼女は今の失言が下ネタだと気付いてないのかもしれない。うっかりな発言をしてしまったと感じているのは、おそらく慧卓ただ一人だけなのだろう。
恥かしいやら情けないやらで自省した慧卓は、名誉挽回するために更に一芸を披露する事にした。これもまた父親から教わったマジックである。
「それじゃもっと簡単なのやりましょうか。王女様、ハンカチを持ってます?」
「ええ。ここにありますよ」
「それを貸してもらえますか?・・・はい、有難うございます」
王女から一枚の綺麗なハンカチを受け取る。手触りのきめ細かく滑らかな感じから見てシルク製であり、縁に沿って走る美しい模様は見るからに高級品の証であった。慧卓はそれを片手に持つと、コーデリアが先程まで愛でていた花の傍に膝を立てて、静かに一礼する。
「失礼します」
そう前置きをした後、一輪の花を摘んだ。コーデリアの穏やかな表情が向けられる中、慧卓は膝の上にハンカチを広げた。
「よく見ててくださいね。これは一枚の綺麗なハンカチ。種も仕掛けもありません。この上に、花びらを乗せます。そうしてこうやって折り畳んで、隠してしまいます」
ハンカチの真ん中に薄紫の花びらを置き、そして一度・二度と、花びらを隠すように三角にハンカチを折り畳む。そうして出来た小さな三角を、今度は下の方からくるくる
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