幕間+コーデリア:手品ともいう
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れを弄びながら話し出す。
「出立まで時間がある。それまでに、ケイタク殿には我々の剣術や武術について教えておこう」
「本当ですか。そういうのって結構憧れてたんですよ」
「そうか。なら、じっくりと教えようか。
王国軍の武術は100年ほど前に確立された、実践的な理論に基づくものだ。鍔や鞘、鎧や兜すら利用する、まぁ言ってみれば泥臭い武術といったところか。根底にあるのは相手を打倒す事だけだから、基本として武具やそのためのやり方は特に問われてない。剣でやるよりも弓でやったり、踏み付けたりした方が相手を倒しやすいのと同じ理屈だ。
実際に戦場で使う武器は様々だが、その内の一つがこれだ。王国軍が正式採用している鉄製の直剣だ。鍛錬用のもので刃は潰してある。持ってみろ」
アリッサは剣をひょいと軽く宙に投げて反転させると、刃の部分を手で受け止めてから慧卓に差し出す。あまりに造作も無い動作に慧卓は驚きつつ、その柄を掴んでゆっくりと引き抜く。案外腕にずっしりと来る重みに意識を改め直すと、徐々に新雪のような美しい銀光の刀身が現れてきた。切っ先まで全て抜くと、それを両手で確りと握りしめて縦に構え、刀身をまじまじと見詰めた。
「結構重いですね。流石、鉄製なだけある」
「王都の練兵所がいつも世話になっている鍛冶屋に作らせたものだ。両刃で、刃渡りは二尺、刃幅は一寸ほど。突いてやれば人の身体なら容易く斬れるし、何より扱いやすい。鍛錬を積めば重みにだって違和感が無くなってくるだろう。
握りは簡単だ。柄の近くを、人を殴る時のように、がっしりと持つ。やってみろ」
言われるがままに慧卓はそれを握って、正眼で構えてみる。映画やドキュメンタリーとは違って剣先がぶるぶると震えてしまうのは御愛嬌である。平和主義の一介の生徒では真っ直ぐ上に剣先を向けるだけで大変な労力なのだ。
「そうしたら、肩に担ぐように剣を振り上げて、一気に下ろす」
彼女に言われるがまま、慧卓は一歩足を引きんがら右肩に剣を振り上げ、それを振り下ろす。『ぶん』という鈍い音がして、剣先が地面を僅かに掘ってしまった。身体も少しばかり前のめりとなってしまっている。本当ならば振った後に剣を止めねばならないのだろうが、この重量を扱い慣らすのは想像以上に難しいようだ。
「・・・こうですか?」
「ああ。素人らしい素直な一振りだ。磨き上げればそれなりの剣士になれるぞ。今からでも遅くない、練習してみるがいい」
「そうですか・・・。んじゃ、この世界に居る間は、確りとこいつを練習しますよ」
「いい意気込みだ。その剣はケイタク殿に貸してやろう。だが常に携帯するというのも危なっかしいから、普段は私が預かる事としよう。必要になったら私の所へ言いに来てくれ」
「分かりました。・・・じゃぁ今日は、これで素振
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