第一章、その4:盗賊の砦
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してやれば、貴様に極刑台で首を落とす名誉をやろうぞ」
「はっはっは!!!生憎だが、俺は王国の全ての街で出入りが禁止されてんだ、極刑台まではいけねぇなぁ?」
「なら此処で落してくれよう。貴様の鬱屈とした思いが詰まった、この砦でな?」
「てめぇ、阿婆擦れの癖して調子に乗りやがって!!!」
「黙らんか、馬鹿者がっ!!近衛騎士に無礼を働くなっっ!!!」
声を荒げて暴言を吐いた男に、山賊の棟梁らしくカルタスが胸を張り上げて激を発した。そのけたたましい怒声が壁に反響して、幾重もの波となって男の心胆を寒からしめた。カルタスはアリッサに向き直る。
「部下に代わって無礼をお詫びする。無礼を重ねるようで恐縮だがな騎士様、此処は山賊の根城なんだ。山賊の棟梁たる俺が山賊のルールを駆使し、あんたを命令してもいいだろう?」
「・・・良かろう。末期に辱めを晒さぬよう、気をつけて法を扱う事だな」
「はははは・・・気丈な態度が何時まで続くか、見ものではないか。おい、丁重にお連れしろ」
賊の男が牢屋の扉を鍵で開けて、頸を振って催促する。アリッサが男の臆病さを嘲笑うように溜息を漏らすと、男はいきり立って地下牢の中へと入り、無理矢理アリッサの腕を掴み取った。そして踵を返そうとした時、熊美と接触してたたらを踏む。
「気をつけろ、糞オカマっ!」
「ごめんなさいね・・・てめぇ、あとで覚えてろよ?」
「なっ、なんだと貴様っ!!」
「・・・フフッ」
「お前は笑うなっ!さっさと歩け!」
何処か可笑しいように笑うアリッサを前に歩かせて賊の男が退出していく。棟梁が熊美の右手を見詰めて一つ微笑むと、己の鍵を用いて牢屋の鍵を掛けて、地下牢を出て行く。
扉がガタンと音を立てて閉まり、慧卓が待ち焦がれたように話し始めた。
「で、どうします?こんな場所に居続けたら直ぐに風邪を引きそうですけど」
「案外余裕ね、貴方。普通なら頭抱えて絶望するような状況なのだけれど」
「そりゃ貴方もです、熊美さん。今何を握ってるんですか?」
「・・・よく見ているわね」
熊美が掌を見せ付けるように手を広げると、其処には小さな鉄鍵があった。
「それって・・・牢屋の鍵ですか?」
「ふふーん、大正解。あの人とぶつかった時にくすねちゃった。熊美ったら、本当に悪い子、うふっ(ハート)」
「うえっ(嘔吐)、にあわねぇ。オカマの『うふっ』とか誰が得すんだよ」
「あ”?」
「超可愛い!熊美さんマジ天使!この天使のような可憐な笑顔で色んな人の心を掴んできたんだろうなぁ!すごいなぁー、憧れちゃうなー!」
「それほどでもないわ」
熊美が地下牢の鍵を手の中で弄びながら言う。
「山賊の頭がなんで私を見逃したのか、いまいち意図が分からないけど、事態が上手く運ぶならそ
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