第5章 契約
第68話 再び夢の世界へ
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ではなく、同じ青に属する色の盾に龍を象ったシンプルな紋章。
少なくとも、このハルケギニア世界にやって来てから今までには、見た事がない紋章で有る事は間違有りません。
いや、不自然と言えるのはそれだけではなかった。
ここに至るまですべての門は開け放たれ、門衛の詰所や、番人の小屋らしき物は存在していたのですが、其処もすべてもぬけの空。
来客を案内すべき人間や、当然、門衛などの人間に出会う事など一切、有りませんでした。
この状況は、俺自身がタバサの夢に拒絶されてはいない、と判断すべきなのでしょうか。
落ち着いた雰囲気の重い扉を開くと、其処は玄関ホール。其処から始まる廊下には幾つもの扉が存在している。
しかし、彼女。俺がタバサの存在を感じて居るのは……。
玄関ホールから正面に見える一番大きな青い扉に手を掛ける俺。
その扉の先には……。
其処は魔法の明かりに包まれたかなり広い部屋。但し、冬の夕刻の時間帯なのですが、対面の壁に見える暖炉には火が入れられている訳では無い。
そして、床に敷かれた毛足の長い絨毯。
しかし、玄関ホールや、其処から続く廊下と比べると明らかに暖かな空気が、扉を開いた直後の俺を包み込んだ。
そう。この部屋の雰囲気から察すると、ここは貴族の御屋敷。そして、その居間に当たる部屋。
その部屋の中心。くつろぐ為に備え付けられたソファーの周囲に集まる家族。
三人の子供と、二人の大人。
子供は、蒼い髪の毛と蒼い瞳の少年少女。どちらも、十歳前後と言う雰囲気。もう一人の少女は……俺が連れて居る炎の精霊サラマンダーとそっくりの少女。そのサラマンダーそっくりの少女の年齢に関しては十代半ば以降と言う雰囲気。
そして二人の大人。男性の方は黒髪黒い瞳の青年……と言っても差し支えない若い貴族。
もう一人の女性の方は、蒼い髪の毛、蒼い瞳。髪型もタバサと同じショートボブ。
炎の精霊以外の二人の蒼髪の子供と、この夫婦らしい男女の間には明らかな血縁関係を思わせる雰囲気が存在して居た。
十歳前後の少年少女。いや、少年には確かに見覚えが有る。
それは、以前。誘いの香炉に因って眠らされた時に、最初に湖の乙女と共に歩んで居た少年の幼い頃の姿と言う雰囲気。
そして、少女の方は……。髪の毛は長いが幼い頃のタバサだ、と言われると、そうかも知れない、と言う姿形を持つ少女。
そう言う年少の二人組がチェスに興じ、
その二人の母親と思しきショートボブの女性と、まるで炎の精霊のような紅い髪の毛の少女が、その二人の対極を覗き込み、
黒髪黒い瞳の男性が、一人掛けのソファーに座って、分厚い革の表紙の書物に視線を送る。
確かに、女性
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