暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第5章 契約
第68話 再び夢の世界へ
[6/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
も無ければ、醒めない夢の世界で舞い続けて居る訳でも無い。

 彼女(タバサ)が完全な眠りに落ちてから一日以上が経過しているが、未だ目覚める気配はなし。

「タバサは何らかの術の影響下に有ると考えて間違いないのか?」

 普段は触れる事の少ない眠り姫の蒼き髪に触れながら、自らの右側に並ぶ少女に問い掛ける俺。
 柔らかい髪の触れる感触が妙に心地良く、何故だか手を離し難かっただけなのですが。

 俺の右横で微かに首肯いたような雰囲気。しかし……。

「その可能性が高いと推測される」

 流石に、それでは伝わらないと思ったのか、実際の言葉にしてそう答える湖の乙女。
 ただ、彼女やタバサをずっと相手にして来た経験から、彼女らの反応には敏感に成って居るので無理に言葉にして貰う必要はないのですが。

 それでも、彼女が気を使ってくれたのは間違いないので、今回はこれで良いでしょう。
 それならば、

「オマエさんの能力でタバサを目覚めさせる事は可能か?」

 引き続き行う質問。
 もっとも、これは確認作業に等しい問い掛け。
 何故ならば、彼女、湖の乙女とは元々水に関係する精霊。水の精霊とは、感情や心に関係する精霊でも有ります。

 そして、眠りをもたらせる魔法とは、当然、心に作用する魔法。
 つまり、心に作用する魔法で、彼女が解除出来ない魔法と言う物は早々存在しないと思いますから。

 矢張り、微かに首肯いたような気配を発した後、

「可能」

 ……と、短く答える湖の乙女。
 但し、その後ろに続く不自然な空白。そして、同時に発生する陰の雰囲気。

 しかし……。

「わたしがサポートを行い、あなた自身が彼女の夢に潜入。そこで、彼女を夢の世界に捕らえている原因を排除する」

 直ぐに、その方法を教えてくれた。普段通りの小さな声。更に抑揚の少ない彼女や、タバサと同じ言葉使いで……。
 おそらく……。
 おそらく、あの短い空白は逡巡。そして、陰の気を発したと言う事は、その夢へと侵入すると言う行為が危険だと言う事の現れ。

 但し、危険だからと言って止めたとしても言う事を聞く相手ではない事も、同時に判っていると言う事なのでしょう。
 湖の乙女が知って居る武神忍と言う人物の前世は……。

「夢の世界。いや、状況から察すると、タバサが捕らえられているのは意識と無意識の狭間の世界。彼女の夢の世界の最下層と言う事か」

 其処ならば、因果の糸が強く結ばれた相手を通じて疫鬼を送り込むような真似も出来る。
 まして、以前。あの紅い光に染まった世界を、暗黒の虚無へと塗り潰す為にショゴスを送り込んで来るような真似も出来たのです。
 今回も同じように、境界線から彼女の夢に入り込んで来て居ると考える
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ