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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第68話 再び夢の世界へ
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い場所に多くの疫鬼が顕われる結果と成ったようです。
 つまり、タバサに送り込まれて来た疫鬼は、形代などで騙せる程度の疫鬼などではなく、もっと強い絆で結ばれた存在だと言う事。

 そう。まるで、直接の肉親のような強い絆で結ばれた因果の糸を通じてやって来る疫鬼……。


 名工の手に因り作られた、と表現しても違和感を覚える事のない端整な容貌。必要最小限の言葉。いや、基本的には俺の言葉にしか反応しない様は、正に神霊に属する存在。
 俺の対面に座る少女。湖の乙女と名乗った少女が、意外に器用な手つきでお箸を使用しながら首肯いた。
 少し甘い目の味付けを行った出汁巻き卵を頬張った状態で。

 尚、本日の朝食は純和風。サケの切り身。きのこの御味噌汁。ほうれん草のお浸し。出汁巻き卵。それに炊き立ての白い御飯。最後は緑茶。
 準備を二人で並んで行い、差し向かいと成って食事を共にするように成ってから大して時間が経っていない少女(湖の乙女)
 しかし、彼女が傍らに立つ事に一切の違和感を覚える事もなく、むしろ、彼女が傍に居る方が安心出来るぐらいの相手。

 おそらく彼女は、俺の前世と関係が有った相手だと言う内容に、偽りや誤りはないと言う事なのでしょう。

 そう考えながら、彼女の差し出して来るお茶碗に御飯をよそう。
 俺からお茶碗を受け取りながら、少しの違和感に似た雰囲気を纏う湖の乙女。
 これは間違いなく疑問。確かに、彼女の事を真っ直ぐに見つめたままですから、不審、……とまでは行きませんが、それでも多少の疑問ぐらい感じても不思議では有りませんでしたか。

「こうやって一緒に食事を取る相手が居ると言うのは良い物やな。そう、思っただけやから気にせんでも良いで」

 タバサは未だ目覚めませんが、これは、彼女(湖の乙女)の助力が有れば目覚めさせる事は難しくはないでしょう。
 そう、気楽に考えて居た故に出るこの台詞。

 短い空白。そしてその台詞に対して、微かに首肯いて見せる湖の乙女。
 その時、彼女の瞳に浮かぶ色は……。

「あなたと共に過ごした短い期間が、わたしの生涯で一番幸せな時間だった」

 ……懐かしい思い出。かつて手にしていた大切な物を取り戻した時、人はこんな瞳の色を浮かべるのかも知れない。
 そう思わせるに相応しい雰囲気を彼女は発した。

 しかし……。

「そうか。いい奴やったんやな、昔の俺は」

 ……としか答えられない俺。
 彼女が言うのだから、それはかつての俺が為した事なのでしょう。それで無ければ、生をまたいでまで縁を結び、今の俺に対して力を貸してくれる訳は有りませんから。

 確かに、精霊に取って、自らの能力を使って貰う事は喜び。
 しかし、この世界の魔法使いたち。いや、ブリミル
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