第5章 契約
第68話 再び夢の世界へ
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遠くを見つめていた蒼い髪の毛の少女の瞳が僅かに揺れ、
そして、
そして、俺がこちらの世界に来てから一度も見た事がなく、そうして、見たいとも思わない物が、瞳から零れ落ちた。
三度俺の前に立ち塞がる閉じた扉。
今度の扉は赤。
重い赤い扉を押し開く俺。
その扉の向こうに広がる世界は……。
再び現れる暖炉の有る居間。
しかし、矢張り、暖炉に火が入れられる事はなく、炎の精霊が存在する事に因って室温が一定に保たれている。
その部屋の中心に存在するソファーには……。
先ほどと違うカップルソファーに腰掛けて、同じように書物に視線を送る父親。
その傍らに腰掛け、キルト。パッチワークキルトを作っている母親。
そして、先ほどチェスに興じて居た子供たちは、二人で一冊の本の両端を持ち、仲良くひとつのソファーに並んで座る。
この二人は仲の良い兄妹。いや、無声映画のような状態で説明されるここまでの様子から、二人の関係を推測すると姉と弟。
ただ、同じ髪の毛と瞳の色はしていますが、双子と言う程似ている訳では無い。
面差しに似ているトコロの有る姉弟と言う雰囲気。
姉の方は母親に良く似た容姿を持ち、
弟の方は、父親に似た雰囲気を持つ。
少女は良く笑い、その様子を優しげな……。両親が見つめるに相応しい瞳で二人を見つめる大人の男女。
この部屋に存在する蒼い髪の毛、蒼い瞳を持つ三人と、黒髪黒い瞳の青年貴族は間違いなく家族。
血縁関係を思わせる似た容姿以外からも、ふとした瞬間に感じる瞳に籠められた感情や、聞こえないながらも、それぞれがそれぞれに掛けられた言葉に対する反応から、そう言う雰囲気を感じさせるのだ。
そして、新たなページを捲った際に発せられた蒼い少女の微笑み。
その微笑みを瞳が捉えた刹那、正に泡沫の夢の如き儚さを持って、この世界は消えて行った。
ついに四つ目の扉が目の前に顕われる。
今度の扉の色は黒。
尚、この扉が指し示す色にも、ある程度の察しが付きつつ有るのですが……。
ただ、おそらくは、この扉を開き、すべての夢。無声映画に等しい映像のみが繰り広げられる夢を見終わらなければ、彼女らの居る場所に辿り着けない、と言うルールなのでしょう。
但し、今まで見せられた映像は、タバサの夢なのか、それとも他の誰かが見ている悪夢なのかが判らないのですが。
そして、重い気分で黒き扉を開いた先には……。
魔法の明かりが照らし出す、このハルケギニア世界では当たり前の部屋で有った。
但し、部屋の質が違う。
豪奢な天蓋付きの寝台がふたつ並べられ、
部屋の家具や調度ひとつに至っても、かなりの高
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